ブロックチェーン事業の縮小を否定
IT最大手IBMの広報責任者が、同社がブロックチェーン担当チームの人員を大幅に削減したとの報道を否定したことがわかった。
リソースの変更は行ったがブロックチェーン技術を担当する強固なチームは維持していると説明し、クラウド事業の原動力として今後もブロックチェーンの技術開発やエコシステムの発展、サービスの提供に注力していくとしている。
IBMがブロックチェーンチームの人員を「ほとんどゼロ」にしたという内容は、暗号資産(仮想通貨)メディアCoinDeskが4人の情報筋の話として報じていたが、同メディアが広報に確認した上で、広報責任者の発言について追加報道を行なった。情報筋にはIBMの元従業員やIBMの従業員にインタビューを行ったことのある人物らが含まれるという。
情報筋はそれぞれが、企業の収益が目標に届かずIBMの職が削減される事例が増加していることや、エンタープライズ向けのブロックチェーンに対する期待は非常に高かったが、実際には発表していたほど事業を実行できていないなどと指摘していた。
また、ブロックチェーン事業のトップだったJerry Cuomo氏も別のチームに異動し、今は人工知能(AI)の開発に取り組んでいると説明する情報筋もいた。
今回の内容を否定したIBMの広報責任者は、「ブロックチェーン事業は順調で、毎年行っている組織変更としてリーダーやメンバーの再編を行っただけだ」と説明。また「Cuomo氏は他に追加で担当している業務もあるが、現在もブロックチェーンの事業に携わっている」としている。
IBMの取り組み
IBMは公式ホームページによると、これまで500社以上の顧客とブロックチェーンのネットワークを構築してきた。
ブロックチェーンの活用方法として、ワクチンの配布やサプライチェーン管理、学習証明ネットワークなど幅広い事例を紹介している。
昨年11月には、岩手銀行がマイナンバーカードとスマートフォンによる電子契約の実証実験に、IBMのブロックチェーン技術「IBM Blockchain Platform」を採用したことを発表。
急速に高まるペーパーレス、押印レス、非対面ビジネスといった社会的ニーズに対応するため、政府が普及促進を進めているマイナンバーカードを活用し、幅広い顧客に簡単で確実な電子契約環境を提供することを目指すという。