CoinPostで今最も読まれています

テスラなど米上場企業のビットコイン保有、会計規則が不利に作用する可能性=ブルームバーグ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

会計規則はビットコイン保有の落とし穴か

米金融メディアブルームバーグは論説で、現行の企業会計規則には、テスラ社のビットコイン購入に不利に働く要素があると指摘。

この論説を執筆したコラムニストのChris Bryant氏は、約15億ドル(約1,600億円)を暗号資産(仮想通貨)ビットコインに投資したイーロン・マスク氏の決定を「二つの投機的なバブルを一つにした金融ダイナマイト」と形容したことからも分かるように、企業がその財務資産をビットコインに割り当てるのは、巨額の金融リスクを負う行為だと否定的な立場をとっている。

しかし、リスクに対する議論以前に、会計規則の制限により「マスク氏の賭け」はテスラの財務報告書を改善することも、手元資金の価値を高めることもできないと主張した。

仮想通貨の会計上の分類

現行の会計上で仮想通貨は「現金またはその同等物」とも「金融投資」ともみなされないとBryant氏は指摘。その代わりに企業会計では、価値を原価で報告するべき「無形資産」と分類され、価値下落の際には、評価損を計上しなくてはならないという。さらに資産価値が上昇しても、売却するまで評価額を変更することはできないルールとなっているというのだ。

一方、テスラの年次報告書では次のように説明されている。

適用会計規則の下でデジタル資産は、耐用年数を確定できない無形資産とみなされる。したがって、当該資産の取得後、公正価値が簿価を下回る場合、減損損失を計上する必要がある。一方、市場価値が上昇しても、売却するまでは上方修正することができない。当社は現在、ビットコインを長期保有する予定だが、当該資産の市場価格が上昇したとしても、減損処理が発生した期間では、収益性に悪影響を及ぼす可能性もある。

Bryant氏は、11億ドル(約1,100億円)という巨額のビットコイン投資を実行したMicroStrategy社を例に挙げて、この規則の影響を具体的に説明した。同社が保有するビットコインの価値は約3倍になっているため、同社の戦略は成功したように見える。しかし、ビットコインの価格変動のため、第4四半期の2,650万ドル(約27億円)を含む合計7,100万ドル(約74億円)の減損を計上しなくてはならなかったという。

一方、MicroStrategy社の株価は年初から3倍以上上昇している。特に、直近ではビットコイン価格の急騰も影響してか、2月9日には1日で22.28%という大幅な伸びを見せた。

会計ルールの変更は?

Bryant氏は、テスラ社の評価をする際に、多くのアナリストが同社の財務報告にビットコインの時価を反映するような調整を加えることになるだろうと述べている。しかし、「それは洗練されておらず、透明性にかけるアプローチだ」と批判した。

財務報告書に企業の財務状況をより正確に反映するためには、仮想通貨の会計上の取り扱いについて検討する必要があるが、残念ながら会計業界は「急いで仮想通貨革命を受け入れようとはしていない」と同氏は指摘した。

米国の上場企業は財務諸表作成時に、米国財務会計基準審議会が定めた「一般に認められた会計原則」(GAAP)に従わなくてはならないが、同審議会は昨年10月、仮想通貨を審議されるべき技術的な議題に加えないことを全会一致で決議したという。

Bryant氏は、現行の会計規則は仮想通貨が誕生する以前に作られたもので、同審議会が躊躇するのも理解できるとしながらも、財務報告書の記載には、ビットコインの市場価格を反映させるべきだと強調し、「それ以外のものは、投資家に不完全な状況を見せることになる。」と指摘した。

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
10/27 日曜日
13:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、アバランチのVisaカード発行やAI系ミームコインGOATの高騰など
仮想通貨市場の1週間の動きをまとめ、ビットコイン、イーサリアム、XRP、アバランチなど時価総額上位の仮想通貨の最新の材料を紹介。米国著名投資家の発言やマイクロソフトのビットコイン投資検討など、重要なトピックスも取り上げた。
11:30
心理的節目の上抜けに成功すれば、ショートカバー伴い最高値を試しにいく展開も視野|bitbankアナリスト寄稿
bitbankアナリストが1000万円台前半で底堅い推移となるビットコイン(BTC)相場を分析。今週の相場失速で失望するのは時期尚早だと言及し、今後の展望を解説した。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|DOGE時価総額3兆円突破に高い関心
今週は、ドージコインの時価総額3兆円突破、米政府のウォレットから30億円相当の仮想通貨が不正流出した可能性、マイクロソフトのビットコインへの投資評価に関するニュースが最も関心を集めた。
10/26 土曜日
14:00
「ビットコイン現物ETF、個人投資家が需要の8割を占める」バイナンスが報告
バイナンスがビットコインの流通量4.5%を現物ETFが保有していると指摘。個人投資家主導の需要拡大と機関投資家の緩やかな参入を分析している。
11:55
リップル社、仮想通貨XRPめぐる対SEC控訴裁判で4つの論点を提出
リップル社がSECとの裁判で控訴審に向けた陳述書を提出。ハウィーテストの適用など4つの重要論点を提示している。
07:20
マイクロストラテジー、24年ぶりの高値 ビットコイン強制売却の可能性は「極めて低い」 BitMEXが分析
BitMEX Researchのアナリストは、マイクロストラテジーが現在の債務構造に基づいて保有しているビットコインを強制的に売却する可能性は「極めて低い」と主張した。
06:35
ハッカー、米政府の仮想通貨ウォレットに大部分の流出資金を返還
米政府の仮想通貨ウォレットから流出した約30億円相当の資金のほとんどが、24時間以内に返還されたことが観測された。
06:15
テザーCEO、米政府捜査の報道を否定
ステーブルコイン発行企業テザーのパオロ・アルドイーノCEOは26日、米国の連邦検察当局が同社を調査しているとのWSJ報道内容を否定した。
10/25 金曜日
18:05
AIエージェントと仮想通貨の融合 コインベースが描く未来像
米コインベース・ベンチャーズは、人工知能(AI)とブロックチェーン技術の新たな融合がデジタル経済を変革すると主張。Web3上で、自律型AIエージェントが人間と自由にやりとりする世界「エージェントWeb」が誕生する未来のビジョンを描いた。
13:28
国内における「暗号資産ETF」実現に向け、 ビットバンクが勉強会の総意として提言公表
暗号資産(仮想通貨)bitbankを運営するビットバンクは、証券会社や資産運用業者、信託銀行等と共同で行う「国内暗号資産ETF」勉強会への参加とともに、参加メンバー一同として日本における暗号資産ETFの実現に向けた提言を発表した。
11:40
個人マイナーが再びビットコインブロック採掘に成功、3200万円相当の報酬獲得
仮想通貨ビットコインのソロ個人マイナーが再び大きな報酬を獲得したことが判明した。9月に続く事例である。
10:45
1995年公開「攻殻機動隊」のNFT、アニモカブランズジャパンから発売へ
今回は第一弾で、1995年に公開された押井守監督作品『攻殻機動隊』をフィーチャーしている。このNFTコレクションでは、作中に登場するキャラクターのパーツを、Mocaverse、CoolCats、San FranTokyoのPFP専用Traitsとしてそれぞれ描き下ろした世界に1つだけの作品となっている。
09:35
米国ビットコイン現物ETF、約100万BTCの保有でサトシ・ナカモトに迫る
米国ビットコイン現物ETFの保有BTCが98.5万枚を突破。サトシ・ナカモトの推定110万枚に接近している。
07:50
マイクロソフト、12月株主総会で「ビットコインへの投資評価」を議決権行使項目に設定
米IT大手マイクロソフトは12月上旬に予定されている2024年の年次株主総会に向けて、「仮想通貨ビットコインへの投資の評価」を議決項目の1つとして設定した。マイクロストラテジーのようにビットコイン保有企業になるか。
07:20
取引所らの企業、日本の仮想通貨ETF誕生に向け提言作成
日本で仮想通貨ETFが承認されることを目指し、取引所や法律事務所らが税制改正などを含め提言を作成した。対象銘柄をビットコインとイーサリアムに絞ることも提案している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/12/01 09:30 ~ 20:00
東京 墨田区文花1丁目18−13
重要指標
一覧
新着指標
一覧