「ラグプル」が再び発生
DeFi(分散型金融)界隈で再び「ラグプル」という出口詐欺が発生した。ラグプル(Rug Pull)とは、暗号資産(仮想通貨)プロジェクト側などが密かにDEXプールの流動性を引き抜き、資金を持ち逃げする一種の不正行為だ。
今回発生したのは、バイナンススマートチェーン(BSC)上の分散型取引所「TurtleDEX」で、すでにウェブサイトがアクセス不可能となり、ツイッターの公式口座も削除されたことが確認されている。また、持ち逃げされた資金は約9,000BNBで、約2.5億円に相当するという。
⚠️TLDR @turtle_dex $0.5 presale MAR 15th, raised 9000 $BNB, partnered with @Jetfuelfinance & @ape_swap who added $TTDX pools & trade liquidty MAR 18th. Shortly after @turtle_dex removed majority of liquidty, swapped to $ETH, sold on @Binance. $TTDX's web, Twitter & TG all deleted https://t.co/Bu81DGuIKN
— DeFi Stalker (@DefiStalker) March 19, 2021
19日18時30分ごろ、BSC系DeFiユーザーの@DefiStalker氏がSNSで、ラグプルについてコミュニティに知らせ、プロジェクト側がその10時間前にApeSwapおよびPancakeSwapで、ネイティブトークン「TTDX」の取引プールからもう一つのプールトークンであるBNBを引き抜き、イーサリアム(ETH)に換金しバイナンス取引所に送金していたことを指摘した。
DEX上のトークンは、取引の流動性を高めるために、プールに取引ペアのトークン(基本2種類)を提供する必要がある。しかし、プロジェクト側がユーザーから提供されたトークン(ETHやBNB、USDTなど)を引き抜くリスクがあり、流動性が引き抜かれたあと、本来のプロジェクトトークンに対する買い圧力(流動性サポート)がなくなり、価格が暴落することに転じる。(CoinGecko参考 )
bsc.newsというBSC関連のメディアサイトも今回の事件を掲載し、DeFiユーザーに注意を促している。ラグプルされるリスクを抑えるために、以下複数の注意点を示した。
- 機能するWebページはあるか、どのようなWebページなのか
- 明確なロードマップ・目標はあるか
- ホワイトペーパーはあるか
- プロジェクトのチームメンバーは公開されているか、匿名チームなのか
今回がBSC上で起きた初めての詐欺関連事件ではない。3月5日には、Meerkat Financeが関わった持ち逃げ事件も報じられた。
関連:BSC基盤のDeFiプロジェクトMeerkat 、30億円相当が不正流出
本件に関して、バイナンスCEOのCZ氏はまだコメントを発表していないが、以前のツイッター発言から、TurtleDEXの事例を含め、今後も不正に流出した資金を追っかける姿勢が窺える。
I mean, helped chasing the funds back.
— CZ 🔶 Binance (@cz_binance) March 16, 2021