街頭広告に厳格な規制適用を検討
ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)の街頭広告に対し、スペイン証券取引委員会(CNMV)が、より厳格な規制導入を検討していることがわかった。CMVCの Rodrigo Buenaventura会長が、地元メディアEl Español主催の金融カンフェレンスで明らかにした。
CNMVは仮想通貨の街頭広告を「際どいもの」と認識しており、その妥当性を諮問委員会に諮るとともに、広く一般の意見を聴取したいとした。さらに、その結果に基づいて、より厳格な仮想通貨の街頭広告規制案を政府の最高諮問機関に提出する予定だという。
ただし、「CNMVが管理/監督するのは、投資の代替手段として宣伝する広告のみであり、資産そのものやプロバイダー、事業ではない」と、Buenaventura氏は強調。そして、規制案が正当なビジネスに悪影響を及ばすことのないよう留意することが肝要だと付け加えた。
取引所Bit2Meのビットコイン広告
今年2月、首都マドリッドの大通りや主要地区に、800枚を超える「革命は始まったばかりだ。ビットコインへようこそ」とのスローガンが書かれたポスターが登場した。CNMVに危機感を与えた原因の一つは、現地取引所Bit2Meが展開した、この大規模なビットコイン街頭キャンペーンだと思われる。
Bit2Meによると、このキャンペーンは「金融の未来として注目される」ビットコインのメリットを社会に伝え、一般の認識を高めることが目的だという。
スペイン当局の共同声明
一方、時期を同じくしてスペインの中央銀行であるスペイン銀行とCNMVは、仮想通貨の投資リスクに関する共同声明を出した。
声明では、仮想通貨は金融システムを活性化し、近代化する可能性があると一定の評価を与えながらも、「極端な価格変動性、複雑さと透明性の欠如」という特徴があり、以下のような側面やリスクを考慮する必要があると警告した。
- 規制:EUでは金融機関と同等の保証・保護を提供する規制の枠組みが存在しない
- 高リスク投資:1.投機的要素が強く、「小規模な貯蓄者には適さない可能性」がある
- 高リスク投資:2.関連デリバティブ商品などは、複雑で仮想通貨の幅広い知識と経験が必要
- 価格設定:規制された証券市場のような、市場操作を防ぐ措置がないまま、価格設定が行われている
- 流動性:多くの仮想通貨の流動性は限定的
- 決済手段としての利用は非常に限定的。高い変動性により、勘定単位や価値の保存手段として適切に機能しない
- 国境を持たない:スペイン国内に発行、管理、マーケティングの基盤がないケースが多いため、紛争解決が困難
- 盗難、詐欺、紛失:仮想通貨の管理は規制/監督されていない。秘密鍵の紛失や盗難は回復できない損失に繋がる可能性がある
消費者保護の観点から規制当局がリスクを指摘するのは当然だが、仮想通貨に限らず、いかなる投資であれ、リスクが存在することは自明の理だ。最終的には、個人が投資リスクとメリットの両方を認識した上で判断することが求められている。