ブロックチェーンで卒業証明
学校法人角川ドワンゴ学園・N高等学校(通称、N高)が、令和2年度(2020年)における卒業証書をブロックチェーン上で発行したことがわかった。
角川ドワンゴ学園の広報担当によれば、同校ではブロックチェーン上で卒業証書が発行されたのは今回が初。新型コロナウイルスの感染拡大防止やコスト削減の観点から、卒業証書の手渡しを控え、デジタル卒業証書の試験的な導入に至ったという。
ブロックチェーン技術を活用した卒業証書を発行した事例としては、2017年のマサチューセッツ工科大学(MIT)や2020年の慶應義塾大学などが挙げられる。
20年2月には、韓国の浦項科学技術大学(POSTECH)がブロックチェーンに保存された卒業証明書を発行した事例もあるが、今回の卒業証書導入はトライアルであり、紙の卒業証書が正式なものとなる。
海外の事例
ブロックチェーン上で証書を発行する事例は海外でもまだ珍しい。
シンガポールでは、2019年から国家レベルで学位証書がブロックチェーン上で発行される計画「OpenCerts」を発表。教育省や政府の技術局(GovTech)が共同開発を行った。
また、ブロックチェーン技術の導入に前向きな南欧マルタ共和国政府も2019年、高等学校や教会学校を含む全ての学校の卒業証書をブロックチェーン上で発行する計画を表明した。
ブロックチェーン技術はその特徴上、改ざんや不正が難しく、データの書き換えリスクが低い。近年では、不動産登記や知的財産、有価証券などの権利書の発行にも活用されている。
一方、新型コロナウイルスの感染防止対策などの観点から、2020年以降は非接触型決済の手段や経産省が推奨するデジタルトランスフォーメーション(DX)としての活用事例も増加傾向にある。
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