スウェーデン中銀、デジタル通貨を5年以内に発行する可能性=ブルームバーグ

「5年以内にe-クローナを保有する可能性」

スウェーデン中央銀行(リクスバンク)のStefan Ingves総裁が、デジタル通貨「e-krona(e-クローナ)」の発行時期について具体的な見通しを明かした。

総裁によると、スウェーデンは5年以内に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を保有できる可能性がある。ブルームバーグが報道した。

同国は2020年2月に、e-クローナの実証実験開始を発表、2021年2月までの期間を予定していた。しかし最近の発表によると、現在のパイロットプロジェクトは2022年まで完了しないとしており、2026年まで試行を続ける可能性もあると示唆。スケジュールは当初よりも延長されているようだ。

リクスバンクのAnna Breman副総裁は最近、e-クローナによってヘリコプターマネー(一般的に、政府が国債を買い入れて、大量の貨幣を市中に供給する経済政策を指す)やマイナス金利など新たな政策の導入が容易になり得ると発言。これに関してIngves総裁は、そうした新たな金融政策を考えることは、まだ「遠い将来の問題だ」とコメントした。

実証実験の第一段階を完了

e-クローナは現状、パイロットプロジェクトの最初の段階を終えたところだ。その報告書によると、ブロックチェーン技術に基づく分散型ネットワーク上で、トークンベースのe-クローナを作成。テスト環境で、ネットワーク参加者や流動性供給、エンドユーザーなどの重要な構成要素についてシミュレーションを実施したという。

出典:riksbank

通貨の供給については上図によると、リクスバンクがe-クローナをトークンの形で発行、銀行や決済サービスプロバイダーに供給し、それらの機関はトークンの真正性を確認する。

エンドユーザーは、モバイルアプリやカードなどに接続されたデジタルウォレットを利用して、入出金ができる仕組みとなる。

技術的ソリューションの面では、アクセンチュアと技術提供契約をしており、さらに契約を延長することを決定している。ブロックチェーン基盤としては、R3のCordaブロックチェーンを土台としてネットワークが構築された。

今後はリテール決済面をさらに検討

今後進めていくパイロットプロジェクトの第二段階では、様々な参加事業体の内部システムとe-クローナのネットワークをどのように統合できるかに重点を置く。市場関係者に、実際にデジタル通貨システムを試用してもらう予定だという。

また、トークンやその鍵を保管するオフラインソリューションを実装し、その可能性や限界についてテストを行う。オフライン決済の機能についても優先的に検討していく。

さらに、リテール決済のための十分なパフォーマンスとスケーラビリティを達成するために、関連事項の調査・検証も進める。他には、日常的な買い物の支払いにe-クローナを使うことも前提として、既存のPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)端末との統合を考慮していくことなども検討課題に挙げられた。

スウェーデンは欧州連合(EU)に加盟している一方で、通貨についてはユーロを採用せず、自国独自の通貨クローナを使用してきた。またスウェーデンのデジタル決済エコシステムは非常に活発で、国内での現金使用量は世界的にみても最も低い水準だ。

こうしたことから、欧州の中でスウェーデンはCBDC分野で先進的であるとみなされることも多い。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは|ビットコインとの違いと主なメリット
中国をはじめとする各国は、独自の中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の構築競争を繰り広げています。ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)ではなく、独自のデジタル通貨の導入を目指すのはなぜでしょうか。
著者:A.Yamada
参考:Bloomberg , Riksbank

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します