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インド中銀総裁、「仮想通貨に大きな懸念」との見解を再度示す

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「仮想通貨に対する立場は変わらない」

インド準備銀行(RBI)のShaktikanta Das総裁は6月4日の記者会見で「暗号資産(仮想通貨)に関して引き続き大きな懸念を抱いている」と言及して、再度その立場を明らかにした。

5月31日には、2018年の仮想通貨関連企業への銀行口座サービス禁止政策について「現在無効であり、参照しないように」との声明を出したばかりだが、仮想通貨に対して積極姿勢に転じたわけではなさそうだ。

Das総裁は2月にも「RBIは金融安定性の観点から仮想通貨に懸念を抱いている」という趣旨のコメントをしていた。今回も「RBIの立場に変更はない。私たちは仮想通貨に関して大きな懸念を有しており、それを政府に伝えた。」と話している。

また、インド人が仮想通貨に投資すべきかどうかについては、次のようにコメント。仮想通貨への投資の是非は個々の投資家がそれぞれ判断すべきだとした格好だ。

仮想通貨投資はそれぞれの投資家が自分で評価し、デューデリジェンスを行い、非常に慎重に考慮した上で資金投入するか判断するものだ。

仮想通貨関連口座に対する金融機関の姿勢は?

2018年に、インド準備銀行(RBI)は銀行やその他の金融機関が仮想通貨関連の顧客と取引することを制限する規則を可決したが、2020年にインドの最高裁判所が、それを違憲と判断。禁止令は無効になった。

しかし、その後も一部の銀行は古い禁止令を引用して、顧客に制限を設けていた状況があり、先月の31日にRBIは古い通知を参照しないよう周知した。この件についてはDas総裁も、今回再度確認している。

一部の銀行が顧客とのやり取りの中で依然として古い通知を引用していたことに驚いた。この通知は破棄されたと明言しなければいけない。参照することは間違っている。

5月末の禁止令撤回の確認を受けて、インドの大手銀行HDFC Bankも仮想通貨取引に関与しているユーザーに「口座を閉鎖する」と警告する内容の手紙については無視するよう声明を出していた。

一方で、ある仮想通貨取引所の責任者が地元メディアThe Economic Timesに話したところによると「小規模な銀行のいくつかは方針をみなおす姿勢だが、その他大手銀行などは、まだ仮想通貨事業者と取引することに懐疑的」だという。

今回、総裁が再度禁止令の撤回を明言したことが、仮想通貨業界にとって後押しとなるかどうか状況は不透明だ。5月にはRBIが水面下で、取引所やトレーダーへの銀行サービス提供を控えるよう呼びかけをしているとの報道もなされた。

関連インド中銀、仮想通貨関連企業への金融サービス停止を水面下で要請か=報道

仮想通貨規制を探る委員会を検討か

The Economic Timesは5月、関係筋の話として、インド政府が仮想通貨規制の方法を探るために、新しい「専門家委員会」の設置を検討していると報道した。

報道によると、この委員会は、ブロックチェーン技術の活用について調査し、仮想通貨を「通貨」ではなく「デジタル資産」として取扱い、規制する方向性を取る可能性がある。「全面禁止するのではなく、新たな見方が必要」との見解を示す政府関係者も存在しているという。

しかしこの委員会設置の議論はまだ初期段階であり、引き続きインド財務省は国内での仮想通貨取引量増加を注視していると関係筋は話した。

関連インド、仮想通貨規制を巡り新たな委員会設立の可能性

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