銀行の仮想通貨カストディを許可
米テキサス州の銀行局が6月10日、州公認の銀行に暗号資産(仮想通貨)のカストディを行う許可を与えたことが分かった。銀行自身による標準的なリスク評価が、カストディサービスを提供するのに十分だと確認する内容の通知が出された形だ。
通知には「テキサス州に公認された銀行がリスクを適切に管理し、法律を遵守するための十分な体制を備えている限り、仮想通貨カストディサービスを提供できることを確認する」と記載されている。
また、銀行がどのようにカストディサービスを実施するかは、その銀行の専門性、リスク許容度、ビジネスモデルによって様々だとして、幾つか方法を挙げた。
例えば、仮想通貨を直接管理するのはユーザーで、銀行はその秘密鍵のコピーを保管するだけにすることも可能。あるいは、銀行がユーザーの仮想通貨を直接管理して、銀行が保有する新しい秘密鍵を作成することもできる。
信託業務としてカストディサービスを行う場合には、信託権限を有していなければならないため、関連する法律への準拠が必要な場合があるという。この際銀行は、他の種類の資産を扱う時と同様に、仮想通貨を管理する権限を得ることになる格好だ。
必要なリスク管理
通知は「新しい商品やサービスの提供に伴うリスクを慎重に検討することは、経営陣の責務」であるとして、リスク管理システムについて、次の3つの方向を挙げた。
- 関連ポリシーや手続きなどの運営管理
- アクセス管理や認証などの技術的管理
- 保管する仮想通貨に固有のハードウェアやデータ保護など物理的管理
これに加えて、銀行が利用する保険会社が十分な補償を仮想通貨サービスに提供するかを確認する必要もあるとする。
全国レベルのカストディ許可方針は保留中
米国は、全国レベルで今回テキサス州が発行したものに類似した政策を打ち出していた。米通貨監督庁(OCC)が「銀行は仮想通貨のカストディサービスを行える」と発表したものだ。
この方針は、Brian Brooks氏が会計検査官代理を務めていた際に、仮想通貨業界を後押しするような他の政策と共に提出されていた。しかしその後政権交代によりBrooks氏は辞任。現在は、こうした政策は「見直す必要がある」として一時保留されているところだ。結果として、テキサス州は銀行に仮想通貨カストディを認めるという点で一歩先を行くことになった。
テキサス州の仮想通貨関連法案
テキサス州は、ブロックチェーンや仮想通貨についての先進的な規制環境を整備していることで知られる。
8日にも仮想通貨を商法の中に位置づけて、企業の仮想通貨取扱いに法的根拠を与える法案を可決したところだ。仮想通貨の管理権などについて明確な枠組みも定めており、仮想通貨カストディを行う上での重要事項も含んでいる。今回の通知とあわせて、仮想通貨業界の後押しになりそうだ。
また他にも、2つの法案が議会に提出されている。まず、人々が物品やサービスなどの取引を行う際に「デジタル通貨」も含む交換手段を使用する権利を保証する法案だ。もう1つは規制されたスポーツ賭博において「現金同等物」の一つに使えるものの中に仮想通貨を挙げる法案である。
さらにブロックチェーンを育成する法案も提出されており、テキサス州は関連業界から注目される地域の1つだ。
関連:マイニング産業発展する「米テキサス」で新法案成立、仮想通貨を商法に位置付け