ゴールドマン・サックスの最新レポート
最近、ビットコイン(BTC)の関連商品をクライアントに提供し始めた米大手投資銀行ゴールドマン・サックス。先日発表された6月のレポート「Digital Assets: Beauty Is Not in the Eye of the Beholder」では、依然として仮想通貨を投資家に勧めない姿勢を見せている。
「消費者と資産管理部門」が作成した同レポートは機関投資家等のクライアント向けのものとして配信されており、投資資産としてビットコインなどの仮想通貨を顧客に勧めない理由が述べられていることから、それを紹介する。
レポート内容
まず、多くのビットコイン投資家や有識者はBTCを「デジタルゴールド」とみなしているが、ゴールドマン・サックスにとっては実際そのような価値はないとした。「ビットコインをデジタル版のゴールド(金)とする理論自体はビットコインおよびその他の仮想通貨に価値を与えるわけではない。なぜなら、ゴールド自体も、信頼性のある価値の保存手段ではないからだ」と論じ、米国株のほうがインフレヘッジの良い手段になると主張。「ビットコインを長期的な価値の保存手段、投資の分散化に適した資産としてもみなしていない」と説明している。
投機資産について
投資に適切な資産ではないとしたゴールドマン・サックスであるが、ビットコインとドージコイン(DOGECOIN)を比較。これらのデジタルアセットは「投機には理想的だ」と述べた。投資アセットと投機アセットという分類があり、必ずしも「投機が悪」という意味ではない。
一方、過度な価格変化(ボラティリティ)は、投機面を踏まえても問題点になると指摘し、本来仮想通貨市場へ参加しようとするクライアントが撤退することに繋がっていると指摘した。「短期間での価格急変動することに関して、一般メディアの批判報道とそれに対する業界有識者の反論も、クライアントを躊躇させる要因になっている」と説明した。
さまざまなリスクがある点も理由に
また、ボラティリティや内在的価値などの要素のほか、機関投資家などのクライアントにおける、リスク管理の観点で、ゴールドマン・サックスは規制リスク、環境懸念、サイバー攻撃なども、仮想通貨へ投資することを勧めない理由として挙げている。
ビットコインのリスク・リターンのプロファイルを踏まえた上で、クライアントが取り組むべきポートフォリオのアセット戦略の条件を満たしていないとみている。
ーレポート
ブロックチェーン、イーサリアム商品について
ゴールドマン・サックス
ゴールドマン・サックス(The Goldman Sachs Group, Inc.)は、金融グループとして、株式・債券・通貨・不動産取引のブローカー業務や、貸付・保険・投資銀行業務に加え、プライベート・バンキング等も行う米国の金融大手。全体運用資産額は2020年度で、2.1兆ドルと記録された。
▶️仮想通貨用語集
ゴールドマン・サックスは今回のレポートでビットコインなどの仮想通貨の投資適性を否定するほか、「ブロックチェーン技術は長期的経済成長に寄与し得るが(中略)技術的進化で現在のブロックチェーン技術が時代遅れになる可能性もある」との見解も示している。
また、このようなレポートが発行される一方で、同社のデジタルアセット責任者Mathew McDermott氏は、機関投資家にイーサリアム(ETH)の先物・オプション取引を提供する計画があることを今週明かしている。クライアントからの需要が高まっていることがビジネスとして商品を提供する決め手と言える。
動画:加納裕三氏の見解
雑誌「GOETHE」が暗号資産やブロックチェーン業界のキーパーソンを取材する連載「暗号資産は世界をどう変えるか?」と「CONNECTV」とのコラボ企画が始動。ビットフライヤーブロックチェーン代表取締役 加納裕三氏のインタビュー動画を第5回にわたって公開した。
動画の視聴はこちら