仮想通貨を盗難
2019年に経営破綻したニュージーランド拠点の暗号資産(仮想通貨)取引所Cryptopiaの元従業員は5日、およそ25万NZドル(約1,950万円)相当の仮想通貨を盗難した容疑を裁判で認めた。現地メディア「Stuff」が報じた。
名前が非公開にされているその元従業員は、取引所のウォレットの秘密鍵をコピーし、USBメモリーに保存。自宅に持ち帰り、その秘密鍵を使用して様々な銘柄のウォレットにアクセスしたという。最終的な判決は、10月に下される。
Cryptopiaは最盛期には、80人以上のスタッフを抱え、世界に広がる140万人超の顧客にサービスを提供していた。2019年1月にハッキング被害に遭った後は経営難に陥り、同年5月に破産手続きを進めていることを公表。昨年12月には、ユーザーに対して返金手続きを開始したことが分かった。なお、今回の元従業員は、ハッキングとは無関係であると伝えられている。
関連:仮想通貨ハッキング被害で破綻したCryptopia、対象者への返金手続き開始
今回の元従業員の犯行は、ある顧客が2020年9月に、間違ってCryptopiaのウォレットにビットコイン(BTC)を入金してしまったことから明らかになった。
誤って入金した顧客がビットコインを返却して欲しいと、破産管財業務を担当する会計事務所Grant Thorntonに相談。その後、Grant ThorntonがCryptopiaのウォレットを調べるうちに、複数のウォレットからビットコインが違法に引き出されていることが発覚したという。
ミキシングサービスに回されていたビットコインもあったが、調査を続ける過程で、元従業員がビットコインや他の仮想通貨を盗んだことを認めたというのが今回の経緯だ。
ミキシングサービスとは
仮想通貨の取引データを複数混ぜ合わせることによって、その仮想通貨の出所や保有者のアイデンティティを隠すサービス。本来はプライバシーを強化する手段だが、資金洗浄に利用される場合も多い。
▶️仮想通貨用語集
なお、元従業員は盗んだ仮想通貨の一部を返却しており、残りの分も返すと申し出ている。