デジタルコロンを年内に発表か
エルサルバドル政府が独自のデジタル通貨を発行する可能性が浮上した。同国のオンラインニュースEl Faroが報じた。
報道によると、ナジブ・ブケレ大統領の兄弟であるイブラヒム・ブケレ氏とユセフ・ブケレ氏は大統領の代表として投資家に向けたプレゼンテーションで、ステーブルコインの仕組みが利用されるデジタル通貨『コロン・ドル』を年末までに発表する予定があると言及したという。
エルサルバドルは6月に、ビットコインを国の2つ目の法定通貨として採用するための法案が議会に可決され、9月7日に施行される予定。
2001年にエルサルバドルは不安定な自国の法定通貨「colón(サルバドール・コロン)」の流通を撤廃し、唯一の法定通貨(リーガル・テンダー)として米ドル(USD)を採用。今後ビットコインはドルと並行して利用されることになる。
報道では、政府側が一度El Faro紙に『コロン・ドル』の計画は破棄されたと話したが、別の情報筋の内容によると、計画は進められているという。現時点では情報は確実ではない。
また、プレゼンテーションの対象投資家陣には、カルダノ(ADA)やアルゴランド(ALGO)の代表がいたとも報じられた。
エルサルバドルのビットコイン法とは
エルサルバドルのビットコイン法は、ブケレ大統領が推進した法案で6月9日に議会によって可決された。この法律は、米ドルと並行する形で、ビットコインを法定通貨として認め、市民がビットコインを全ての決済シーン(サービス業など)で利用できることを定めている。
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ビットコイン採用で問題視も
エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用することが決定された直後、世界的金融組織は採用のリスクに対し懸念している。
最初は国際決済銀行の委員が「BISとしては、ビットコイン(BTC)は投機アセットであり、決済手段に相応しくないと判断している。規制されるべきだ」と発言し、のちには世界銀行がビットコイン法の導入に向けた協力を支援できない姿勢を表明していた。
また、日本政府は7月に、「ビットコインを資金決済法上の外国通貨ではなく、これまで通り暗号資産に該当する」とする見解を発表した事例もある。
一方、エルサルバドル政府は多額の債務で、IMFから10億ドル(約1000億円)以上の融資獲得を目指しているところだが、IMFはビットコイン採用について「極めて慎重な分析が必要となる。多くのマクロ経済的、財政的、法的な問題を引き起こし得る」と公式コメントをしたため、融資の行き先は不透明と言える。
IMFの融資に関して、米Victoria Nuland政治担当国務次官は6月末に、IMFがエルサルバドルへの経済支援を継続すべきとの考えを示したことが報じられた。