CoinPostで今最も読まれています

誰もがノードとして参加できる軽量型ブロックチェーン、Mina Protocolとは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

世界最軽量ブロックチェーン

Mina Protocolは、世界中のどこからでも、どんなデバイスでも利用できる軽量ブロックチェーンを基盤としたインフラを開発している。

現在、ビットコインのブロックサイズは350GBにも達しており、常に肥大化を続けているものの、Minaブロックチェーン自体のブロックサイズは約22kbで固定されている。そのデータサイズは、ツイート2つ分(またはPDFファイル一枚分)のサイズに過ぎない。

Mina Protocolでは、利用者がどれだけ増えても、ブロックチェーン自体が常に同じサイズを維持する仕組みを採用することにより、プロトコル参加者はネットワークの同期や検証を素早く行うことができる。

出典:Mina Protocol

誰でもフルノードとして参加可能

他のブロックチェーンプロトコルはサイズが重いため、ノードを運営しようとなるとそれなりの設備や仲介者が必要になる場合がある。しかしMinaはその軽量さから、誰もがピアツーピアで接続し、チェーンの同期と検証を素早く行うことができるといった利点がある。

また、Minaは軽量サイズを一貫して保つため、今後ブロックチェーンの規模が大きくなったとしても、誰もがアクセス可能な状態を維持し続けることが可能だ。改良版のOuroboros PoSプロトコルの採用により、コンセンサス規模を最大化することもできるという。

このように、Minaではすべての参加者がフルノードとしての機能を持ち、誰もがコンセンサスに参加してブロックチェーンを管理できるものの、そのプロセスにおいて高額な高性能マイニング用コンピュータを必要としない。それを可能にするのが、Minaが採用する技術である「zk-SNARKs」だ。

zk-SNARKsとは

「zk-SNARKs」とは、ゼロ知識証明のメカニズムを基盤とした、極めてサイズの小さい「偽造不可能な証明書」の役割を果たす技術だ。汎用性も高く、どのようなデバイスの、どんなに複雑な計算でも対応ができるとされている。

ゼロ知識証明とは

証明(Proof)プロトコルの一種であり、証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズム。

仮想通貨用語集

ビットコインやイーサリアムなどの従来型ブロックチェーンでは、新たなノード参加者が加わる度に、数百ギガバイトにも及ぶデータが正しいかどうか、ネットワーク開始以来の全ての取引を検証する必要がある。

一方、zk-SNARKsであれば、エンドユーザーは自らブロックチェーンのデータを確認する代わりに、zk-SNARKsによる簡易な証明書を確認するだけだ。どのようなデバイスであろうと、ブロックチェーン上の取引データの正しさを簡単かつ瞬時(10ms=0.01秒)に検証できる仕組みとなっている。

関連:個人情報管理のカギとなる「ゼロ知識証明」とは|XSL Labs寄稿

今後のユースケース

Minaでは、zk-SNARKsを使ったプライバシー性の高い分散型アプリケーション(dApps)の「Snapps(Snarkified Applications)」を提供している。

従来の分散型アプリケーションとは異なり、MinaのSnappsでは「証明済み」データをノードが検証するだけで良いため、データの開示が生じることなく、プライバシーが確保され、かつスループットも向上するというメリットがある。

現在、Minaではこうした技術を活用し、将来的にインフラとしての機能を担うことになるソリューションの開発に注力している。Minaが想定する、3つの主なユースケースは以下の通りだ。

エンドツーエンドのデータプライバシー

出典:Mina Protocol

Snappは情報源のウェブサイトに接続し、そのウェブサイト上の「データに関する証明」を作成できる(下記のパーミッションレスWebオラクルの活用)。ここでいう「証明」とは、データそのものではなく、「事実」のみ(例えば、ユーザーのクレジットスコアが閾値を超えていること等)だ。

Snappはこうした「証明」をMinaネットワークと共有し、検証済みの「証明」を暗号化された取引として相手に送信することができる。それゆえMinaユーザーは、個人情報を不特定多数と共有することなく、オンチェーンサービスにアクセスすることが可能となる。

つまり、ほとんどのチェーンでは、カウンターパーティー(金融機関・取引先など)は実際のユーザーデータを受け取るものの、Minaではデータそのものではなく、証明のみの提出で済むこととなるため、個人情報やデータの共有における脆弱性を排除し、データ漏洩リスクを大幅に下げることが可能となる。

パーミッションレスなWEBオラクル

出典:Mina Protocol

Snappsを利用すれば、開発者はあらゆる任意のWebサイトから、検証済みの公開データを活用した分散型アプリケーションを構築することが可能。

Webサイト側の許可を必要とせず(パーミッションレス)に、Web上で一般公開されている情報を入力でき、関連する証明のみを共有するだけでデータへのアクセス、その使用、または保護が可能だ。

例えばこの機能を使うと、あるツイートが一定数の「いいね」に達した場合、スマートコントラクトを自動的に起動してNFTを生成するといったことなども可能となる。

オラクルとは

オラクルとは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトにオフチェーンのデータを提供するサービス。

仮想通貨用語集

プライベートなインターネットログイン

出典:Mina Protocol

ユーザーは、自身のメールアドレスでMinaにSnappベースのログインアカウントを作成すれば、実際のメールアドレスを公開することなく、そのアドレス保有者であることをウェブサイト側に証明できる。

これにより、アカウント作成や個人情報の登録といったステップを踏まずとも、Webサイトやインターネット上のサービスへのプライベートなアクセスが可能になる。

開発者がこのオプションをサービスに組み込むことで、ユーザーアクセスの際にMinaによるログインを通した安全が担保される仕組みとなっている。

これらの機能は現在開発中だが、Mina側は今後数ヶ月〜1年以内の実装を目指している。

Mina財団について

Mina財団CEOのEvan Shapiro氏は、コンピュータサイエンスやAI分野の権威として知られる米カーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの学位を取得。

その後、CMUパーソナル・ロボティクス・ラボでHERBロボティクス・プラットフォームの研究に従事しながら、同大学の研究修士号を取得した他、Mozillaのソフトウェアエンジニアとしても活躍した経歴を持つ。

同財団の取締役には他にも4名が名を連ねており、貢献者(Contributors)としては50名以上の名前が挙がっている。

出典:Mina Protocol

Minaはまた、世界的投資機関からの投資を受けており、アジア地域における戦略的投資ラウンドで1,090万ドルを調達。このラウンドを共同リードしたのは、Bixin VenturesとThree Arrows Capitalなどだ。

Minaの開発元であるO(1)Labsは、2018年5月にもシードラウンドで350万ドルを調達済みで、その後、2019年4月にはPolychain、Paradigm、Coinbase Venturesなどを含む有力な投資家から1500万ドルのシリーズAラウンドを調達していた。

Minaトークン(MINA)について

MINAトークンとは、Minaブロックチェーンのネイティブ通貨であり、Minaブロックチェーン上でブロックを生産したり、ステーキングするために用いられる。

また、マーケットプレイスの「Snarketplace」を介してブロック生産者およびSNARK生産者がSNARK証明を売買する際に取引する通貨となる。

出典:Mina Protocol

MINAトークンは、供給上限のないインフレ通貨であり、発売時には最大で合計10億MINAトークンが配布され、8年間で完全にロックが解除される計画となっている。

ロードマップ

以下は、これまでの業績と今後の予定を示したロードマップだ。

2017年

6月:「O(1) Labs」によりプロジェクトが始動。Minaの誕生。

2018年

3月:プログラミング言語Snarkyの完成。

2019年

7〜10月:テストネット・フェーズ1〜2がローンチ。

2020年

3月:PoSコンセンサスメカニズム「ウロボロス・サマシカ」完成。

3月:SNARK構築メカニズム「Pickles」完成。

5月:テストネット・フェーズ3ローンチ。

8月:分散型アプリケーション「Snapps」完成。

11月:テストネット・フェーズ4ローンチ。

2021年

予定1(完了):メインネットのローンチおよびMinaトークンの発行。

予定2:コンポーザブルなSnappsロジックの作成。他のSnappsを介した検証の自動化。

2022年

予定1:モバイルおよびウェブでのフルノードを実行。Minaを最もアクセスしやすいブロックチェーンとし、大規模な分散化を実現。

予定2:分散型金融オンチェーン・プロトコルを実装。分散型の投票や意思決定を可能に。

コメントしてBTCを貰おう
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/23 木曜日
13:15
Gala Games、公開プレイテスト開始
Gala Gamesが2タイトルで公開プレイテストを実施中。4X系のターン制RPG、「エターナル・パラドックス」とサバイバルMMOPRG「ウォーキング・デッド:エンパイア」で2週間限定で実施される。
13:00
アバランチ(AVAX)、アップデート後に約1時間のダウンタイム
仮想通貨アバランチのブロックチェーンは、23日に実装されたアップデート「Banff 12」後に約1時間に渡って停止した。アバランチの「Contract(C)Chain」が影響を受け、一部取引所では入出金を停止する措置が取られた。
12:27
ビットコイン反落、FOMCパウエル発言やイエレン議会証言で楽観的な見方が後退
暗号資産(仮想通貨)市場では年初来高値を更新していたビットコインが急反落。米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げを行なったパウエルFRB議長の方針とイエレンの議会証言で、楽観的な見方が後退した。
11:28
メタマスク、機関投資家向けにステーキング機能を提供へ
米ConsenSysは、機関投資家向けの仮想通貨ウォレット「Metamask Institutional」にステーキング専用のマーケットプレイスを設置する計画を発表した。4つの仲介サービスを提供し、イーサリアムのワンクリック・ステーキングが可能になる。
11:15
ビットコインカストディのXapo Bank、USDC送金システム提供へ
ビットコインカストディ企業Xapo Bankは、ステーブルコインUSDCを発行する米サークル社と提携して送金システムを提供すると発表した。SWIFTと比べ低コストで迅速に送金できるものだとしている。
10:15
Bitrue、Arbitrum(ARB)上場予定
仮想通貨取引所Bitrueは、イーサリアムのL2「Arbitrum」の新規上場計画を発表した。同社は取扱い開始を記念して独自にARBトークンのエアドロップを実施予定。賞金として総額100,000 ARBが用意されている。
10:10
米SEC、トロン創設者ジャスティン・サン氏らを提訴
米証券取引委員会は、仮想通貨トロンの創設者であるジャスティン・サン氏に対して訴訟を起こした。未登録証券の提供や販売、ウォッシュトレードを行ったと申し立てている。
09:50
「GM Radio」 次回は分散型IDプロジェクト「Masa Finance」が参加
グローバル版CoinPostによる第15回GM Radioは、3月24日の12:00からツイッタースペースで配信予定。ゲストに、SBT活用の分散型IDプロジェクトMasa Financeを招待する。
09:20
米SEC、証券法違反の疑いでコインベースを調査
仮想通貨取引所コインベースは、米SECからウェルズ通知を受け取ったことを公表。SECが調査している内容やコインベースの考えを説明した。
08:20
コインベース、Arbitrum(ARB)上場予定
仮想通貨取引所大手コインベースは、「Arbitrum(アービトラム・ARB)」の新規上場を決定した。また、個人投資家向けのアルゴランド(ALGO)のステーキング報酬の付与中止する予定だ。
08:00
メイプルストーリー、NFTゲーム構築にポリゴン採用へ
ネクソンは、仮想通貨ポリゴンのブロックチェーンを開発するPolygon Labsとパートナーシップを締結。メイプルストーリーのNFTゲーム構築に、ポリゴンの技術を活用する。
07:27
米国株反落 FOMC追加利上げ、年内利下げ期待が後退|23日
本日のNYダウやナスダックは反落。NYダウはパウエル議長のFOMC会見を受けて乱高下し-530ドルで取引を終えた。FRBはFOMCで政策金利を0.25%引き上げた。
03/22 水曜日
15:56
BNB Chainのメタバース「Oasis Origin」、OpenAI「GPT4」採用へ
メタバースソーシャルアプリ「Oasis」は、BNB ChainでWeb3版「Oasis Origin」をリリースした。同製品は米OpenAI社の言語モデル「GPT4」を活用するロードマップで注目を集めている。
14:56
「ステーキングサービスを証券認定から除外すべき理由」米コインベースがSECに請願書提出 
米大手仮想通貨取引所コインベースは20日、証券取引委員会に対し、ステーキングサービスの証券法上の取り扱いに焦点を当てた意見書を提出。明確なガイドラインを示すことなく、執行により政策的立場を表明するSECの姿勢を強く批判した。
12:09
Magic Eden、「Ordinals」のサポートを開始
クロスチェーンNFT電子市場Magic Edenは、ビットコイン・ブロックチェーン版のNFT(非代替性トークン)である「Ordinals」の取引市場をオープンした。ユーザーエクスペリエンスが改善され、Ordinalsの一般ユーザーへの普及に期待がかかる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア