世界最軽量ブロックチェーン
Mina Protocolは、世界中のどこからでも、どんなデバイスでも利用できる軽量ブロックチェーンを基盤としたインフラを開発している。
現在、ビットコインのブロックサイズは350GBにも達しており、常に肥大化を続けているものの、Minaブロックチェーン自体のブロックサイズは約22kbで固定されている。そのデータサイズは、ツイート2つ分(またはPDFファイル一枚分)のサイズに過ぎない。
Mina Protocolでは、利用者がどれだけ増えても、ブロックチェーン自体が常に同じサイズを維持する仕組みを採用することにより、プロトコル参加者はネットワークの同期や検証を素早く行うことができる。
誰でもフルノードとして参加可能
他のブロックチェーンプロトコルはサイズが重いため、ノードを運営しようとなるとそれなりの設備や仲介者が必要になる場合がある。しかしMinaはその軽量さから、誰もがピアツーピアで接続し、チェーンの同期と検証を素早く行うことができるといった利点がある。
また、Minaは軽量サイズを一貫して保つため、今後ブロックチェーンの規模が大きくなったとしても、誰もがアクセス可能な状態を維持し続けることが可能だ。改良版のOuroboros PoSプロトコルの採用により、コンセンサス規模を最大化することもできるという。
このように、Minaではすべての参加者がフルノードとしての機能を持ち、誰もがコンセンサスに参加してブロックチェーンを管理できるものの、そのプロセスにおいて高額な高性能マイニング用コンピュータを必要としない。それを可能にするのが、Minaが採用する技術である「zk-SNARKs」だ。
zk-SNARKsとは
「zk-SNARKs」とは、ゼロ知識証明のメカニズムを基盤とした、極めてサイズの小さい「偽造不可能な証明書」の役割を果たす技術だ。汎用性も高く、どのようなデバイスの、どんなに複雑な計算でも対応ができるとされている。
ビットコインやイーサリアムなどの従来型ブロックチェーンでは、新たなノード参加者が加わる度に、数百ギガバイトにも及ぶデータが正しいかどうか、ネットワーク開始以来の全ての取引を検証する必要がある。
一方、zk-SNARKsであれば、エンドユーザーは自らブロックチェーンのデータを確認する代わりに、zk-SNARKsによる簡易な証明書を確認するだけだ。どのようなデバイスであろうと、ブロックチェーン上の取引データの正しさを簡単かつ瞬時(10ms=0.01秒)に検証できる仕組みとなっている。
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今後のユースケース
Minaでは、zk-SNARKsを使ったプライバシー性の高い分散型アプリケーション(dApps)の「Snapps(Snarkified Applications)」を提供している。
従来の分散型アプリケーションとは異なり、MinaのSnappsでは「証明済み」データをノードが検証するだけで良いため、データの開示が生じることなく、プライバシーが確保され、かつスループットも向上するというメリットがある。
現在、Minaではこうした技術を活用し、将来的にインフラとしての機能を担うことになるソリューションの開発に注力している。Minaが想定する、3つの主なユースケースは以下の通りだ。
エンドツーエンドのデータプライバシー
Snappは情報源のウェブサイトに接続し、そのウェブサイト上の「データに関する証明」を作成できる(下記のパーミッションレスWebオラクルの活用)。ここでいう「証明」とは、データそのものではなく、「事実」のみ(例えば、ユーザーのクレジットスコアが閾値を超えていること等)だ。
Snappはこうした「証明」をMinaネットワークと共有し、検証済みの「証明」を暗号化された取引として相手に送信することができる。それゆえMinaユーザーは、個人情報を不特定多数と共有することなく、オンチェーンサービスにアクセスすることが可能となる。
つまり、ほとんどのチェーンでは、カウンターパーティー(金融機関・取引先など)は実際のユーザーデータを受け取るものの、Minaではデータそのものではなく、証明のみの提出で済むこととなるため、個人情報やデータの共有における脆弱性を排除し、データ漏洩リスクを大幅に下げることが可能となる。
パーミッションレスなWEBオラクル
Snappsを利用すれば、開発者はあらゆる任意のWebサイトから、検証済みの公開データを活用した分散型アプリケーションを構築することが可能。
Webサイト側の許可を必要とせず(パーミッションレス)に、Web上で一般公開されている情報を入力でき、関連する証明のみを共有するだけでデータへのアクセス、その使用、または保護が可能だ。
例えばこの機能を使うと、あるツイートが一定数の「いいね」に達した場合、スマートコントラクトを自動的に起動してNFTを生成するといったことなども可能となる。
プライベートなインターネットログイン
ユーザーは、自身のメールアドレスでMinaにSnappベースのログインアカウントを作成すれば、実際のメールアドレスを公開することなく、そのアドレス保有者であることをウェブサイト側に証明できる。
これにより、アカウント作成や個人情報の登録といったステップを踏まずとも、Webサイトやインターネット上のサービスへのプライベートなアクセスが可能になる。
開発者がこのオプションをサービスに組み込むことで、ユーザーアクセスの際にMinaによるログインを通した安全が担保される仕組みとなっている。
これらの機能は現在開発中だが、Mina側は今後数ヶ月〜1年以内の実装を目指している。
Mina財団について
Mina財団CEOのEvan Shapiro氏は、コンピュータサイエンスやAI分野の権威として知られる米カーネギーメロン大学でコンピュータサイエンスの学位を取得。
その後、CMUパーソナル・ロボティクス・ラボでHERBロボティクス・プラットフォームの研究に従事しながら、同大学の研究修士号を取得した他、Mozillaのソフトウェアエンジニアとしても活躍した経歴を持つ。
同財団の取締役には他にも4名が名を連ねており、貢献者(Contributors)としては50名以上の名前が挙がっている。
Minaはまた、世界的投資機関からの投資を受けており、アジア地域における戦略的投資ラウンドで1,090万ドルを調達。このラウンドを共同リードしたのは、Bixin VenturesとThree Arrows Capitalなどだ。
Minaの開発元であるO(1)Labsは、2018年5月にもシードラウンドで350万ドルを調達済みで、その後、2019年4月にはPolychain、Paradigm、Coinbase Venturesなどを含む有力な投資家から1500万ドルのシリーズAラウンドを調達していた。
Minaトークン(MINA)について
MINAトークンとは、Minaブロックチェーンのネイティブ通貨であり、Minaブロックチェーン上でブロックを生産したり、ステーキングするために用いられる。
また、マーケットプレイスの「Snarketplace」を介してブロック生産者およびSNARK生産者がSNARK証明を売買する際に取引する通貨となる。
MINAトークンは、供給上限のないインフレ通貨であり、発売時には最大で合計10億MINAトークンが配布され、8年間で完全にロックが解除される計画となっている。
ロードマップ
以下は、これまでの業績と今後の予定を示したロードマップだ。
2017年
6月:「O(1) Labs」によりプロジェクトが始動。Minaの誕生。
2018年
3月:プログラミング言語Snarkyの完成。
2019年
7〜10月:テストネット・フェーズ1〜2がローンチ。
2020年
3月:PoSコンセンサスメカニズム「ウロボロス・サマシカ」完成。
3月:SNARK構築メカニズム「Pickles」完成。
5月:テストネット・フェーズ3ローンチ。
8月:分散型アプリケーション「Snapps」完成。
11月:テストネット・フェーズ4ローンチ。
2021年
予定1(完了):メインネットのローンチおよびMinaトークンの発行。
予定2:コンポーザブルなSnappsロジックの作成。他のSnappsを介した検証の自動化。
2022年
予定1:モバイルおよびウェブでのフルノードを実行。Minaを最もアクセスしやすいブロックチェーンとし、大規模な分散化を実現。
予定2:分散型金融オンチェーン・プロトコルを実装。分散型の投票や意思決定を可能に。