業界最大規模の補償
暗号資産(仮想通貨)取引所や決済サービスなどを運営するCrypto.comは20日、新たな保険契約により、保険金額が業界最大規模の7億5,000万ドル(約820億円)となったことを明らかにした。9月6日に発効した保険は、Crypto.comのカストディ提携企業「Ledger Vault」のコールド・ストレージに保管された資産に適用され、直接及び間接的な保管に対する補償が含まれる。
仮想通貨の売買と送金、保管が可能なCrypto.comアプリのユーザー数は今年2月に1,000万人を突破した。今回、保険適用範囲が拡大されたことで、同社のアプリユーザーは、物理的な損傷や破損だけでなく、第三者による盗難もカバーされることになる。
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Ledger Vaultのソリューション
このような保険契約の実現を可能にしたのは、Ledger Vaultとの提携の影響が大きいと、英ロイズ保険組合(Lloyd’s Syndicate 2012)に属する「Arch Underwriting」のJames Croome氏は語る。
デジタル資産のリスクを引き受ける上で、カストディのプロセスを完全かつ詳細に理解することは、最も重要で時間のかかる局面の一つだ。Crypto.comが保険会社のサービスプロバイダーとして知られるLedger Vaultとの提携を選択したことで、保管の安全性について必要な信頼を保険会社に与え、通常よりもはるかに短い時間で保険契約の締結につなげることができた。
Ledger Vaultは、仮想通貨のハードウェアウォレットで知られるLedger社が、カストディ企業や、取引所、機関投資家向けに提供するデジタル資産のストレージ・ソリューション。2018年5月にローンチし、2019年には、デジタル資産を対象とした犯罪保険契約の取得に成功した。
Marsh社と英Arch社がアンダーライター(保険契約をする際、契約内容や金額が妥当であるかを査定する者)となり、ロイズ保険組合が引き受けたこの保険は、第三者による盗難やインサイダーの共謀などに対し、1億5,000万ドル(約165億円)を補償するもの。
Croome氏は、この犯罪保険契約の設計のために、Ledger社のチームと6ヶ月にわたる共同作業を行い、Ledger Vaultのセキュリティとガバナンスについて細部まで学んだ経緯がある。
Crypto.comのセキュリティと事業活動
香港を拠点とするCrypto.comは、国際標準化機構(ISO)からプライバシー管理及び情報セキュリティ管理システムに関する認証を取得。サイバーセキュリティ及びプライバシー対策では、米商務省の標準技術局(NIST)の最高レベルにあると評価も受けているとのことだ。
Crypto.comは7月8日、欧州マルタ共和国のマルタ金融サービス局から電子マネー機関(EMI)ライセンスを取得。独自のカード発行や銀行送金が可能になった。同国の仮想通貨業者としては初のケースだという。
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NFT分野へも進出しており、独自に開発するパブリックブロックチェーン「Crypto.org Chain」では、NFTの生成・焼却・譲渡などの一連のオペレーションをサポートする。
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直近では、フランスの名門サッカークラブ、パリ・サンジェルマンFC(PSG)や英ロンドンを拠点にするプロeスポーツチーム「Fnatic」とのパートナー契約を発表。同社のロゴ使用による仮想通貨のプロモーション、仮想通貨決済サービスの提供やNFTのリリースなどの事業が計画されている。
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