JPモルガン、2022年の予測レポートを発表
米金融大手JPモルガンは7日、暗号資産(仮想通貨)に関するレポートを発表。2022年はブロックチェーンの相互運用性向上と、金融セクターのトークン化によって特徴づけられる年になる可能性があると分析した。
レポートの著者はJPモルガンのリサーチアナリストKenneth Worthington氏とReginald Smith氏で、仮想通貨市場は金融サービスとの関連性が高まっていると指摘。
イーサリアム(ETH)のアップグレードや、新しいレイヤー2ソリューションによってより大きなネットワーク容量と取引速度が達成されれば、特に金融サービスにおいて仮想通貨の発展が加速すると予想している。
レイヤー2(L2)とは
全ての取引履歴をメインチェーンに書き込むと負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。
▶️仮想通貨用語集
イーサリアム2.0ロードマップによると、2022年半ば頃には、プルーフオブワーク(PoW)とプルーフオブステーク(PoS)が統合する「マージ」が行われ、メインネットもPoSを使用することが見込まれている。レポートの著者は、これにより、イーサリアムのスピード、コスト、スケーラビリティ(拡張性)に関する懸念が最終的に緩和されることになると示唆した。
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同時に、イーサリアムのレイヤー2ネットワークは、イーサリアムのセキュリティを保持しつつ、トランザクションを効率化し、イーサリアムメインネットから、一部のシェアを奪う可能性もあるという。
また、レポートはイーサリアム以外のL1ネットワークについて次のように述べている。
ソラナ(SOL)はイーサリアムよりずっと処理スピードが速い。エイダ(ADA)はよりスケーラブル。ポルカドット(DOT)はより相互運用性が高い。
こうした利点により、これらのブロックチェーンが、イーサリアムの限界に対応するような新しいプロジェクト開発を促進することで、イーサリアムから市場シェアや時価総額をいくらか削り取れる可能性もある。
資産トークン化とDeFiの可能性
JPモルガンのレポートは、様々な資産のトークン化の可能性に注目している。
将来的には、クレジット(信頼)、株式、不動産の一部(商業用不動産から、住宅、ホテルの部屋まで)、プライベートエクイティなど、非上場投資資産のトークン化が進むことを予測。
分散型金融(DeFi)については、現在の伝統金融システムに「必要以上に仲介者がいる」ことから、依然として大きな可能性を秘めていると述べた。規制が整備されていないことで、銀行など従来型金融機関の、仮想通貨分野での活動は制限されているとも見解を示している。
ビットコインについての見方
レポートはビットコイン(BTC)についても言及。ゴールド(金)と比較すると、ビットコインはそれに匹敵するか、それを上回る「耐久性、携帯可能性、交換可能性、希少性、検証可能性、検閲からの自由」があると説明した。
また、現代における価値の貯蔵手段としてもよく設計されていることで信頼性と価値が向上しているが、ゴールドなど他の資産に比べて、まだ歴史は浅いことにも触れた。
さらに、ビットコインのボラティリティ(価格変動)の大きさは、「交換媒体、会計単位、繰延支払」など、通常貨幣が果たしている価値の貯蔵以外の機能を損なうため、通貨としては欠点があると指摘。ただ「これまでボラティリティに対する懸念は、ビットコインの値上がりを止めはしなかった」とも続けた。