香港、新たな規制体制構築を目指す
香港金融管理局は12日、暗号資産(仮想通貨)とステーブルコインの規制に関する協議書を発行したことがわかった。
当局の規制についての考え方を示し、一般市民や業界関係者からの意見を募集している。特に、ステーブルコイン規制に焦点を当てた。
金融管理局は、仮想通貨セクターが成長しており、銀行など主流の金融システムとの相互関連性が高まっている中で、金融安定性の観点から、仮想通貨の取り扱い方針を見直しているところだ。
協議書へのフィードバックに基づいて、2022年から2023年にかけて、さらに規制枠組みについての文書を発行する可能性があり、さらに2023年から2024年までには、新たな規制体制の導入を目指しているという。
特に、現在の重点分野として(1)当局から認定された機関による、仮想通貨に関する顧客とのやり取りや仲介サービスの提供に関する規制アプローチ、(2)金融市場におけるステーブルコインや、その他の仮想通貨の利用拡大に伴う既存の規制枠組みの妥当性を挙げた。
その上で、今回の協議書では、(2)のステーブルコインなどについての規制アプローチを取り上げるとしている。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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ステーブルコイン規制に対する見解
金融管理局は、ステーブルコインが法定通貨などと紐づけられることから、「価値の貯蔵や決済手段」として発展しやすく、世界の主流の金融システムに組み込まれる可能性が高いとされていると指摘。
特に広く決済手段として普及する可能性があるようなステーブルコインについては、金融システムなどに対しより大きな意味を持つため、一般市民に販売される前に適切に規制される必要があるという。
協議書は、論点の一つとして「すべての種類のステーブルコインが規制されるべきか、必要に応じて規制対象とする範囲を調整するために、制度に柔軟性を持たせるべきか?」という問いを掲げた。現在の、金融管理局の考え方も以下のように示している。
我々はリスクに基づくアプローチにより、現段階では決済関連のステーブルコインに規制の焦点を当てる予定だ。特に、法定通貨などの資産に連動するステーブルコインに注目する。
資産連動型のステーブルコインは市場により多く存在しており、広く受け入れられる決済手段として発展し、主流の金融システムに組み込まれる可能性が高いと思われるためだ。
また、他の論点には「新たなライセンス制度を作る上では、どのような規制要件が想定されるか」というものもあった。金融管理局は、主に以下のような項目を、ステーブルコインに対するライセンス認可要件として挙げている。
- 資本および流動性の管理に関する要件
- 経営陣及び所有権に関する要件
- 裏付け資産の維持管理
- システム、コントロール、ガバナンス、リスク管理に関する要件
- マネーロンダリング・テロ資金調達対策要件
- ステーブルコインと他の流動性資産との適切な換金要件
- 財務報告と情報開示
- 安全性、セキュリティなどに関する要件
香港金融管理局のEddie Yue最高責任者は「関係者からのフィードバックを楽しみにしている。我々は、リスクベースで実用的、機動的な規制体制を構築するつもりだ」と述べた。