政府機関に仮想通貨の枠組み作成を指示
ベトナムのレ・ミン・カイ副首相は先日、同国政府機関に対して暗号資産(仮想通貨)に関する法的枠組みを構築するよう指示を出した。現地メディアが報道した。
この指示は、ベトナムの財務省、法務省、情報通信省という3つの省庁に対して向けられたものだ。枠組み構築の上では、ベトナムの中央銀行やその他の関連機関と協力していくよう指示している。
このうち財務省には、各機関と協力して、改正、補足、公布が必要な法律文書を特定し、具体的な施行時期を設定する役割が与えられた。
プロジェクトの内容
経緯として、2017年8月の段階で、ベトナムの首相は、仮想通貨の管理や取り扱いのための法的枠組みを完成させるプロジェクトを承認する決定1255号を発表していた。
今回の指示は、この決定1255号に基づくものだ。プロジェクトは、主に次の項目の調査を目的としている。
- 外国やベトナムでの実践例における仮想通貨、電子マネーの性質
- 仮想通貨と実物資産の関係
- 仮想通貨、電子マネーの役割
- 仮想通貨、電子マネーがもたらす法律への影響
以上に加えて、関連リスクをコントロールして、ITや電子商取引の発展に影響を与えないように、仮想通貨などに関する法律を完成させるための具体的な作業を提案し、実施ロードマップを関連省庁に割り当てることも目指している。
ベトナムでは2021年に「デジタル政府に向けた電子政府発展戦略」が承認されており、ベトナム国家銀行(中央銀行)には、ブロックチェーン技術に基づくデジタル通貨の研究、開発、試験運用を主導するよう役目が割り当てられた。こちらは、主にCBDC発行の可能性に道を開くものだとみられている。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
▶️仮想通貨用語集
仮想通貨の所有者は増加傾向
ベトナムでは、まだ関連する法的整備がなされていないものの、仮想通貨を所有する人々の割合が、過去数年で大きく伸びている。
仮想通貨決済企業Triple Aの調査によると、21年時点で、ベトナムの総人口の6.1%にあたる590万人以上が仮想通貨を所有していると推定された。Triple Aは、世界平均を約4%としている。
また、ベトナム人の半数以上(59%)が、将来仮想通貨へ投資することに興味を示しており、31%が、オンライン決済に仮想通貨を使用したいと回答。仮想通貨を認知している割合(82%)、ある程度理解している割合(62%)も高かった。