今週(2日〜8日)の仮想通貨相場
今週のビットコイン市場は週初めから47,000ドル付近を推移し堅調な面持ちを見せていたが、週後半には反落し約42,000ドルにまで下落する場面も見られた。
各指標の騰落率一覧
8日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
2日〜8日のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
2日〜8日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、週後半から上値の重い展開を繰り広げ、570万円周辺から、足元(8日正午時点)、540万円で推移している。
週明けのBTCは、シカゴマーケンタイル取引所(CME)のBTC先物主導で乱高下となるも560万円を維持し、ロシア軍によるキーウ郊外での非人道的活動に批判が集まり対露追加制裁の機運が高まる中、Tesla CEOのイーロン・マスク氏がTwitterの株式を取得したことが開示され相場は拮抗した。
しかし、4日米時間に相場は一時560万円を割り込むも、Twitter株の急上昇を受け米株が全体的に強含むと、リスクオンがBTC市場にも波及し反発、570万円を回復した。
翌日には、マスク氏がTwitterの役員に起用されたとの報道を受け、DOGEに連れ高で580万円を試したが、米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事のタカ派発言が債券市場を震撼させ、米長期金利が急騰。
米株市場にも一気にリスクオフムードが広がり、暗号資産(仮想通貨)市場にも波及した。株安は6日も続き、BTCは連れ安となる形で540万円割れを試した。
そこに、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公開され、急速な量的引き締め(QT)が参加者の間で概ね合意されていたことが明らかとなると、相場は540万円を割り込み、一時は529万円近辺まで安値を広げた。
6日から米・マイアミで開催されているbitcoin 2022でのムード好転を期待していたが、ブレイナードFRB理事のタカ派発言とFOMC議事要旨の内容を市場が消化する中、好材料の効用も幾分薄れてしまった印象だ。
7日未明には、ライトニングネットワーク・アプリstrikeのCEOが、NRC、Shopify、BlackHawkといった大手電子決済やEコマースとの提携を発表し、相場は下支えられた模様だが上値も重く、540万円を挟み込み揉み合いに終始している。
米国の期待インフレもこのところ「頭打ち→反落」となってから目立った動きはなく、FRBによる政策引き締め加速観測がやっと期待インフレの抑制になっている。BTC相場にとっては売りが入る口実となることから、この先も米国の物価指数には注目したい。
来週12日(火)には、3月の消費者物価指数(CPI)が発表されるが、政策引き締めが加速される見通しがついた現状でCPIの上振れが確認されれば、FRBがビハインド・ザ・カーブになる懸念も浮上し、期待インフレも反発するか。ウクライナショックによるコモディティー価格上昇の影響も反映される可能性を考慮すれば、CPIの下振れは考え難い。
チャート上では、BTCは対ドルで中期レジスタンスとなっていた4.5万ドル周辺のエリア(第2図内赤線)の上抜けに成功し、上昇トレンド入りの様相を呈したが、200日移動平均線や節目の4.8万ドルに上値を抑えられ、反落し4.5万ドルエリアを再び割り込んでしまった。
今年1月から形成したアセンディングトライアングルからのブレイクアウトで、200日線上抜けも時間の問題かと思われたが、同水準の上抜けにはもうしばらく時間がかかりそうだ。ただ、足元では、先物市場の資金調達率がマイナスに振れ初めており、売りが一巡するサインも見受けられ、目先では底堅い推移が見込まれる。
200日線上抜けはお預けとなったが、目先では7日安値をサポートに4.5万ドル、4.8万ドルとチャート上の上値節目を試す展開をメインシナリオとして想定している。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:4.5万ドル水準が上昇トレンド継続か否かの分水嶺、FRB政策と期待インフレ率の動きに注意