ユーロ建ステーブルコイン発行へ
大手暗号資産(仮想通貨)企業Circle(サークル)社は16日、新たなユーロ(EUR)建のステーブルコイン「ユーロコイン(EUROC)」のローンチを発表した。
同社の提供する主要ステーブルコイン銘柄のUSDCと同様のコンプライアンス基準を遵守した100%担保型のユーロ建ステーブルコインを6月30日より提供していく。
サークル社は、「ユーロコインを手がける目的として、伝統金融と仮想通貨ベースの金融サービスの接続が根底にある」と説明。ユーロ建の流動性供給や国境間決済、そしてキャピタルマーケットへのアクセス容易化などを念頭にしたユースケースを想定している。
既にユーロコインへのサポート(上場・対応)を表明している取引所やウォレット、およびプロトコルは以下の通りだ。
- Anchorage Digital
- Binance.US
- Bitstamp
- Compound
- Curve
- CYBAVO
- DFX
- Fireblocks
- FTX
- Huobi Global
- Ledger
- MetaMask Institutional
- Uniswap Protocol
EUROCは当初はERC-20規格のトークンとしてローンチするが、長期的にはマルチチェーンへの対応を予定している。なお、サークル社が提供するステーブルコインの代表例であるUSDCは以下のブロックチェーンに対応可能。
- イーサリアム(ETH)
- ステラ(XLM)
- アバランチ(AVAX)
- アルゴランド(ALGO)
- トロン(TRX)
- フロー(FLOW)
- ソラナ(SOL)
- へデラ(HBAR)
- ポリゴン(MATIC)
USDCとは
米ドルと1:1の割合で価値が連動されるように運用されているステーブルコイン銘柄。サークル社とコインベースの共同事業体「Centre」が発行しており、取引の基軸通貨として利用されるほか、DeFiの貸付などでも広く活用されている。
▶️仮想通貨用語集
CoinPost編集部がサークル社の担当者になぜ米国企業がユーロ建のステーブルコインを発行するかに至ったか伺ったところ、回答は得られなかった。
渦中のステーブルコイン情勢
直近では、テラ(LUNC)やテラUSD(UST)のディペッグ騒動などから、ステーブルコインに対する不信感が募っている。LUNA急落で多数の投資家に影響を及ぼしたテラの共同設立者であるDo Kwon氏は、韓国や米国の規制当局から調査対象として挙がっている。
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また、UST急落の直前にローンチされたトロン基盤の分散型兼アルゴリズム型のステーブルコイン「Decentralized Dollar(USDD)」も、ディペッグをTRXの引き出しを受け相次いで敢行。UST(TerraUSD)ディペッグ騒動の再来を防止するための施策を打ち出している。
ステーブルコインとしては、業界でも最大規模を誇るテザー(USDT)も裏付け資産に対する疑惑が再燃しており、保有資産の約束手形などに関する憶測を一蹴したばかり。こうした状況で、ニューヨーク州の規制当局からも承認を受けている比較的信頼性の高いサークル社が新たなステーブルコインを発行する動きは今後も注視される。