仮想通貨市況
27日発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル議長会見では、以前までの会合に比べハト派(中立的)な言及があり、将来的な金融引き締めの緩和を示唆したことが材料視された。
市場からは、米GDP統計などリセッション(景気後退)懸念の高まりを受け、「これ以上の金融引き締め加速は現実的ではない」との見方が台頭しつつある。相場は常に先を織り込みにいくことから、買い戻しの口実に合致したとも言えるだろう。
米商務省が28日に発表した事前推計によると、実質国内総生産(GDP)は、2022年の第2四半期に前期比で年率0.9%減少した。前期の1.6%減に引き続き、テクニカル・リセッション水準となる2四半期(半年)連続のマイナス成長となっており、すでに景気後退入りしている可能性もある。
ただし、パウエル議長は「利上げペースはインフレ指数データに依存する」と明言の上、「利上げ効果は現時点では十分に感じられない。今後数ヶ月間でインフレが低下するという説得力のあるエビデンスを探している。」としており、インフレ抑制のためにはさらなる追加利上げも辞さない構えだ。
米ドルの強さを示すドルインデックス(DXY)は、マクロ要因の押し上げを背景に、今月6日時点で20年ぶり高値圏に到達。その後14日に109.294まで高騰後に反落し、2週連続陰線を付けた。29日時点で106.198まで下落している。
アナリストのMichaëlvande Poppe氏は今年4月、「DXYの動きは暗号資産市場の反転シグナルになり得る」と指摘した。ドル指数は、ユーロや円、ポンドなど主要通貨に対する米ドルの強さを示した指数であり、リスク資産と逆相関する傾向にある。
ビットコイン相場
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.28%高の319万円(23,825ドル)と続伸した。
Coinglassのデータでは、デリバティブ(金融派生商品)市場では、過去24時間(28日夜時点)で9万人弱のトレーダーのショートポジションがロスカット(強制清算)された。
200日移動平均線は34,254ドル。1BTC=69,000ドルの天井を付けた21年11月起点のフィボナッチ・リトレースメントでは、23.6%戻しが約30,000ドルで強いレジスタンスライン(上値抵抗線)に重なる。
週足で見るとより強い推移を辿っているようにも見受けられ、200週移動平均線(22,795ドル)を上回って反騰しており、来週明けに下髭陽線で週足クローズ出来れば弾みが付くか。
ブロックチェーン史上最大規模のアップグレードであるThe Merge(ザ・マージ)を控えるイーサリアム(ETH)は、BTCに先んじて直近高値を更新。6月の急落前水準となる1,792ドルをマークした。
注意点としては、米主要企業の業績や米金融当局が注視する「CPI(米消費者物価指数)」や本日23時に公開されるミシガン大学「消費者信頼感指数」などのインフレ指標の推移であり、確たる理由なく改善の兆しを見せずに悪化した場合は、回復しかけたセンチメントが毀損し金融市場全体がリスクオフに傾くおそれがある。
株価指数と正の相関が続く限り、今後も相場の不確実性に振り回される展開が続きそうだ。
Arcane Researchによれば、Funding Rate(資金調達率)は再びマイナス圏に沈むなど、慎重なスタンスを取らざるをえない状況で投資家の弱気感情が払拭できていないことを示している。一方、FRが弱気のまま現物主体で相場を引き上げる構図であれば悪くない。
ピーク時から11%低下したビットコインのディフィカルティー(採掘難易度)調整も、マイナー(採掘業者)にとって追い風と言える。
今年6月までのBTC価格の大幅下落によって採算ラインを割り込み、キャッシュフローが悪化したマイナーが稼働停止を余儀なくされたことで、需給が調整されたことを意味する。
アルトコイン相場
26日のSantimentのデータによれば、106万のデイリーアクティブアドレスが取引され、計164万トランザクションが発生。18年1月の記録である約72万トランザクションを塗り替え、過去最高値に達した。
📈 #Ethereum shattered records Tuesday after an incredible surge in address activity broke its #AllTimeHigh by a wide margin. 1.06M $ETH addresses made transactions, & the team is still investigating the cause of the +48% increase over the previous record. https://t.co/fRLNXkx0PR pic.twitter.com/oXhGvCTJef
— Santiment (@santimentfeed) July 27, 2022
アクティブアドレス数は、主に開発者やプロジェクトのチェーン上のアクティビティレベルを示すものだが、米大手取引所コインベースの戦略責任者であるConor Grogan氏は「採用の拡大ではなく、取引手数料(Gas代)の単位あたりのトークン転送数が多かったことやバイナンスのメンテナンスに起因する可能性がある」と指摘した。
Ethereum reached an all time high in "daily active addresses" today.
— Conor (@jconorgrogan) July 28, 2022
Counter-intuitively, I don't think this means that Ethereum has greater adoption than any previous time period. It means that send and receive addresses per unit of gas was at highs. pic.twitter.com/fjQbfdo0tb
イーサリアム財団の最新のアナウンスによれば、今後のイーサリアム開発が順調に進んだ場合、最終テスト段階のドレスリハーサルとして、8月6日から12日にかけてGoerliテストネットとPraterテストネットが統合(マージ)され、その後いよいよ9月19日にメインネットでの「The Merge(ザ・マージ)」が実装される予定。
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