今週(30日〜5日)の仮想通貨相場
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
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bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
30日〜5日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円はやや不安定な推移となりながら、310万円周辺で上値が重くも下値も堅い展開となっている。週明けの市場は、ペロシ米下院議長がアジア歴訪先に台湾を組み込んだことで、中国当局者からの強い批判が相次ぎリスクオフムードが広がった。
BTC相場は320万円から上値を重くし300万円下抜けを試したが、対ドルで200週移動平均線が走る同水準で支えられると、2日にペロシ氏が無事に台湾に到着したことで安堵感が広がり310万円まで反発した。
しかし、この日はエバンス、メスター、ダリーの米地方連銀総裁らがインフレと利上げ見通しについてタカ派的な発言をし、BTCは反落。そこに追い打ちをかけるようにSolana系の複数ウォレットがハッキングに見舞われ、ムードがさらに悪化した。
週後半からは、相場は再び対ドル200週線で反転し、市場予想に反して上振れた米ISM非製造業景況感指数を追い風に310万円台中盤まで戻したが、今度はスイスに拠点を置く元中華系取引所のZB.comがハッキングの被害を受け顧客資産の入出金を停止すると、相場は上げ幅を掻き消した。
中国軍が台湾周辺海域での軍事演習を開始する中、ジリ安が続いたBTC相場はロングの投げを共なった300万円割れを試したが、売り一巡の様相で5日正午には308万円まで戻している。
先週のBTC対ドル相場は週足で200週移動平均線を7週ぶりに回復したが、今週は米中関係悪化や複数のハッキングにより、日足ベースではジリ安基調が続き4日までに7日続落を記録した。
この間、先物の資金調達率(Funding Rate, fr)は概ねプラス圏で推移し続け、市場のポジションがロングに偏っていたことが指摘されるが、4日のfrは概ねマイナスで推移しており、売り物が出尽くした印象がある。
また、台湾やハッキングを巡るヘッドラインにスポットライトを奪われてしまっていたが、今週は7月の米ISM製造業と非製造業レポートが発表され、支払価格指数がどちらも顕著に低下しており、物価上昇ペースの緩和が示唆された。これは、7月の物価統計の低下を期待させる内容と言え、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利引き上げペース減速に繋がる可能性があり、BTCにとっては追い風になると見ている。
テクニカルの面でも、日足一目均衡表の先行スパン1が先行スパン2の上抜けに成功しており、遅行スパンと均衡表の好転(遅行スパンの相場実体上抜け+転換線の基準線上抜け)も示現し、早期買いシグナルが2つ点灯している状態だ。今週はグズつく展開を繰り広げたBTC相場だったが、そろそろ切り返す頃合いとなってもおかしくないだろう。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:ビットコイン、来週の注目点は週足終値が200週線を維持できるか