ステーブルコイン売却による資金調達を申請
米国で破産申請した暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)は15日、保有しているステーブルコインの売却をニューヨーク南部地区の破産裁判所に申請した。
セルシウスは、自社のステーブルコインを売却することは「業務に必要な流動性を確保するための効率的な方法」だと考えられると述べている。銘柄は明らかにしていないものの、11種類のステーブルコインで約33億円(2,300万ドル)相当を保有しているとした。
申請書によると、セルシウスは通常業務の中で、リテールおよび機関投資家向けレンディングサービスでステーブルコインを使用していた経緯があり、業務に必要な資金を調達するためにステーブルコインを売却することもあった。こうした過去の慣行に従って、売却により業務に必要な資金を調達したいと述べている。
裁判所は、まだ売却申請を承認しておらず、10月6日にセルシウスの申し立てについて話し合う法廷審問が予定されているところだ。
独立検査官の設置を承認
ニューヨーク南部地区破産裁判所の判事は14日、セルシウスの財政を調査する独立検査官を任命する命令を承認した。
セルシウスの無担保債権者委員会は、検査官の採用に伴う出費により債権者への分配額が少なくなる懸念を示していた。しかし最近、米司法省の破産局などの当局と、検査官の調査範囲を狭めることで合意し、立場を変更した経緯がある。
独立検査官を立てることについては、米国政府の連邦管財官事務所が8月に申請していた。セルシウスの事業運営に不透明な部分があると指摘し「ビジネスモデル、事業、投資、融資取引、顧客口座の性質について明確な方法で調査し報告する」公的な報告書が不可欠だと申し立てていた形だ。
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一方で、無担保債権者委員会もセルシウスに対して独自調査を進めている。14日の公聴会では、セルシウスが委員会に調査協力について書面で同意し、すでに16,000枚の文書を提出していると明かした。
同委員会は、複数州の規制当局とも電話会議を行い、調査状況を共有する。
いくつかの州証券規制当局はすでにセルシウスに関する、予備的な調査報告を行っているところだ。セルシウス経営の問題点を指摘し、検査官による調査を求めていた。
例えばバーモント州当局は、セルシウスは十分な資産を保有していなかったにも関わらず「顧客資産を保護する能力がある」と表明していたと指摘。その他にも、バランスシート上の債務超過を隠蔽するために独自トークンCELの価格操作を行っていた可能性があると主張している。
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カストディ口座の資金引き出し許可
セルシウスは、テラエコシステム崩壊の影響を受け、米国でチャプターイレブンにより破産申請を行った。7月には事業再建計画の概要を提示している。
最近の動きとしては、カストディ口座のユーザーによる資金引き出し許可を破産裁判所に申請したところである。申請書では「資産価値を最大化し、その価値を可能な限り公平にすべての顧客に分配するよう努め、同時に可能な限りの資産を顧客に返還する努力も行っていく」と述べた。この件についても10月6日に審理される予定だ。
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米連邦破産法11条(チャプターイレブン)とは
日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
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