日本の仮想通貨事業を見直し
米拠点の大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは18日、日本の既存顧客との取引を停止し、日本事業の全面的な見直しを行うと正式に発表した。
日本事業見直しの理由は、市場環境の変化と説明。日本時間の2023年2月16日まで、顧客はCoinbase Japanから資産を引き出すことができると述べている。
また、2月17日以降、顧客がCoinbase Japanで保有している仮想通貨は、自動的に日本円に変換するとした。17日以降は法的要件に従い、残りの日本円残高を法務局に供託すると説明している。
コインベースとは
米ナスダックに上場する大手仮想通貨取引所。2012年に創業し、短期間で仮想通貨業界のトップベンチャーとなった。日本人向けにサービス提供を開始したのは2021年8月。
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コインベースは現在、事業を縮小中。同社のブライアン・アームストロングCEOは10日、従業員に伝達した情報を公開し、運営コストや人員を削減する方針を明らかにしていた。その際、「成功の可能性が相対的に低いプロジェクトは終了することになるだろう」と述べている。
事業縮小の対象に日本が含まれることは、事業開発・国際部門の幹部ナナ・ムルゲサン氏にインタビューを行ったブルームバーグが11日に報道。その際ムルゲサン氏は、日本が対象に含まれる理由について「デジタル資産領域の不況に伴い、国際的な投資を見直すため」と説明している。
今回コインベースが発表したのは日本からの撤退ではなく、既存顧客との取引停止と事業の全面的な見直し。ムルゲサン氏はブルームバーグに対し、「我々がグローバルに事業を展開するという方針に変更はない」と述べていた。
海外拠点の仮想通貨取引所
アームストロングCEOは、2022年はマクロ経済の状況が広範囲に影響したことで、仮想通貨市場全体が低迷したと説明している。一方で、大手の競合企業が減ったり、規制が整備されたりするという最近の動向は、長期的にはコインベースにとっては追い風になると前向きな見方も示した。ただし、その追い風の恩恵を受けるには時間がかかるだろうと述べている。
日本に進出した海外拠点の取引所ではクラーケンが先月、今月31日で日本での事業を停止し、金融庁登録の交換業を廃止すると発表した。
クラーケンは、現在の日本市場を取り巻く情勢と世界的な仮想通貨市場の低迷をもとに検討を進めた結果、日本でのビジネスをさらに成長させるために必要なリソースを投下することは困難であるとの結論に至ったと説明している。
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