クレディ・スイス主導のシリーズBラウンド
スイスのジュネーブに本拠を置くフィンテック企業Taurusは14日、クレディ・スイスが主導するシリーズBラウンドで約86億円(6,500万ドル)を調達したと発表した。
クレディ・スイスは、資産規模でスイス第2位の銀行である。その他には、ドイツ銀行、スイスのプライベートバンクであるピクテグループ、技術に特化したレバノンの投資会社シダー・ムンディ・ベンチャーズ、アラブ銀行スイス、上場不動産企業インベスチスなどが参加した。
Taurusは2018年に設立された企業。金融機関や企業向けに、カストディをはじめ、トークン化された証券(セキュリティトークン)や暗号資産(仮想通貨)の発行や管理、仮想通貨取引サービスなど、様々なデジタル資産のインフラを提供している。
クレディ・スイス、アラブ銀行スイス、ピクテグループ、ドイツ銀行の他、CACEIS、Swissquote、Vontobelなど様々な銀行を顧客として抱えているところだ。
今回調達した資金は、次の3つの成長戦略に優先的に割り当てるとしている。
- プラットフォームをさらに開発するために優秀な技術者を採用する
- 欧州、アラブ首長国連邦、南北アメリカ、東南アジアに新しい拠点を設け、インフラソリューションの販売とカスタマー基盤構築を行う
- セキュリティ、リスク、法的遵守で、厳密な要件を維持する
セキュリティトークンとは
「有価証券をトークン化してブロックチェーン上でやり取りするもの」である。有価証券は保有している資産を証明するものでなけれならず、その価値が法定通貨などで担保されることに基づき、セキュリティトークンとは「ブロックチェーン上で管理する、株式や債権など」と言い換えられる。
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証券のトークン化に注目
クレディ・スイスは、まだ仮想通貨分野への投資は数社しか行っていないため、今回ラウンドを主導する投資家となったことは注目される。クレディ・スイスの広報担当者は、今回の出資について次のように説明した。
当社は、デジタル資産分野、中でも、規制された証券のトークン化に大きな可能性を見出している。
さらに、DLT(分散型台帳技術)を利用することで、これまでは不可能であったり、費用が高くついたような新機能を金融商品にもたらすことができると考えている。当社の顧客も、こうした技術とその可能性に継続的な関心を抱いている状況だ。
広報担当者は、クレディ・スイスが2年ほど前からTaurusの顧客になっており、資産トークン化など複数のプロジェクトを一緒に行ってきたと続けた。
クレディ・スイスは、すでに顧客の代わりにデジタル資産を保管している。2022年9月には、第2四半期(4-6月)の決算報告で約44億円相当のセキュリティトークンを保有していると明かした。
テクノロジー大手シーメンスもデジタル債発行
近年、デジタル債などセキュリティトークンを発行する企業は増えている。14日には、大手テクノロジー企業シーメンスが、ポリゴン(MATIC)のブロックチェーン上で約86億円(6,000万ユーロ)のデジタル債を発行したと報告したところだ。