仮想通貨取引サービス終了へ
ピアツーピア(P2P)暗号資産(仮想通貨)取引所PaxfulのRay Youssef最高経営責任者(CEO)は5日、同社の取引サービスを終了することを発表した。
終了の理由については、現時点では全ては共有できないとした上で、重要な従業員が複数名、退職してしまったからであると説明。他にも、規制上の課題が大きくなってことも理由に挙げた。規制については特にP2P市場に対する規制が影響。最も大きな問題は米国の規制だとした。
そして、サービスを再開するかは未定と説明。現状で最も安全な選択肢として、サービス終了を選んだと述べている。サービス終了の日時など、今後の具体的なスケジュールは発表には記載していないが、顧客資産の保護を最優先に行っていくと説明した。
PaxfulはYoussef氏とArtur Schaback氏が2015年に創設。企業のミッションは、世界中の人々に対し、金融サービスへのアクセスを公平に提供することだった。公式ウェブサイトによると、同社は世界に4つのオフィスがある。
昨年12月にはイーサリアム(ETH)の上場廃止を発表。現状では、ステーブルコイン以外はビットコイン(BTC)だけを取り扱っていた。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定するように設計された仮想通貨のこと。法定通貨または仮想通貨に価値が裏付けられていたり、アルゴリズム等で価格を安定させたりする様々なステーブルコインが開発されている。
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訴訟問題の影響
今回のサービス終了については、ツイッター上で「Space」を開催。Youssef氏も、このSpaceに参加した。
Spaces on the suspension of the @paxful marketplace for us bitcoiners here https://t.co/59eH6We4Aq
— Ray Youssef (@raypaxful) April 4, 2023
同氏によれば、サービス終了にはSchaback氏の訴訟が影響している模様。Schaback氏はPaxfulとYoussef氏を提訴しているという。Schaback氏は、複数名の従業員に対する給与の支払いを拒んでおり、それによって退職者が出たようだ。
この訴訟については、今回の発表では説明しておらず、今後に詳細が発表される可能性がある。
サービス終了の事例
P2P取引所をめぐっては今年2月、LocalBitcoinsもサービス終了を発表。金融包摂を推進するというミッションを掲げて10年以上運営を継続してきたが、「仮想通貨の冬の時代を乗り越えられなかった」とサービス終了の理由を説明した。
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また、米規制をめぐっては今月、仮想通貨取引所Bittrexが、米国の事業を4月30日に閉鎖すると発表。同社は規制の不透明さを、事業閉鎖の主な理由として挙げた。
BittrexのRitchie Lai CEOは「現在の米国の規制や経済環境で事業を継続することは、採算が合わず不可能だ」と説明。そして、「規制要件はしばしば不明確で、適切な議論や意見がないまま施行されており、競争環境は公平ではないものになっている」と指摘している。