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コインベースCEO、Web3・仮想通貨ユースケース10分野で開発呼びかけ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨関連の開発アイデア10

大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOは31日、Web3(分散型ウェブ)開発者向けの要望として、同社が高い関心を寄せる「10の仮想通貨関連のアイデア」を公表した。

この発表は、同社投資部門であるCoinbase Venturesが10月にロサンゼルスで開催する初のカンファレンス「Coinbase Ventures Summit」に向けたものだ。このサミットでは、仮想通貨業界のトップビルダー20-30名と意欲的な開発者を集める予定。アームストロング氏やCoinbase Venturesチームも出席し、Web3業界の進展を促す議論が行われる。

「Coinbaseには仮想通貨業界で多くを構築するリソースがあるが、すべてに手を出すわけにはいかない。我々が期待するのは、これらのアイデアがエコシステム全体の発展に寄与することだ。」とアームストロング氏はコメント。10のリクエストは以下の通りだ。

1. フラットコイン
「フラットコイン」(Flatcoin)は、分散型ステーブルコインに関するデザインで、インフレ率を追跡することで、インフレ耐性を維持するもの。安定した購買力を保ちつつ、中央集権的なリスクを回避することを期待する。

CPIを追跡することで、理論上インフレに追随し、購買力を長期にわたって維持することができる。ビットコインはそのデフレ的な性質から、時間の経過とともに価値が上昇すると期待されるため、貯蓄や「買いだめ」を促す。一方で、CPIに連動するコインは、安定的だがデフレ資産ではないため、人々が実際に取引に使用しやすいとした。

2. オンチェーンレピュテーション(評価制度)
200以上の基準を設けているGoogle検索アルゴリズム『PageRank』に似た分散型レピュテーション・システム。イーサリアム・ネーム・サービス(ENS)などのウォレットアドレスに、個人の評判スコアを紐づけ、レンディング(賃借)、マーチャントスコア、詐欺抑制、エアドロップ対象者管理などに活かすことが想定される。

3. オンチェーン広告
アームストロング氏は、Web3.0でもWeb2.0と同様に広告が大きなビジネスモデルになる可能性が高いと主張する。同氏は、スマートコントラクトの活用により入札システムの自動化や紹介システムの改善につながり、広告高価指標の中心がCPA(アクション単価)にシフトする可能性を示唆している。

4. オンチェーン資本形成
企業の資本形成(Capital Formation)について、Web3によって平等な資本アクセスを実現し、新しいアイデアを育てるためのプラットフォーム。アームストロング氏は既存サービスの例として「Stripe Atlas」を挙げ、仮想通貨事業体の設立、登録、規制に準拠した方法での資本調達を支援する仕組みを想定している。

5. 仕事/タスク・マーケットプレイス
世界中の人々が仕事を見つけて収入を得る手段を提供する、Web3ジョブマーケットのアイデア。仮想通貨投資家の人口は限定されている一方で、職業に関するニーズは全ての人に関係するため、高い需要が見込まれる。

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有志のアイデアも募る

6. レイヤー2のプライバシー
レイヤー2のトランザクションのプライバシーを向上させるアイデアで、トランザクションの機密性を確保しながら、透明性と効率を保つ方法を模索している。

このアイデアは、ほとんどの金融取引はプライベートに保たれるのが最善であるという見解に基づいている。HTTP から HTTPS へのプライバシー移行を経たインターネットの歴史を踏まえ、プライバシーの確保が仮想通貨を主流へ押し上げる可能性もあると加えた。

7. 完全なオンチェーンのP2P取引所
アームストロング氏は、特に伝統的な金融サービスへのアクセスが限られている地域における、P2P(ピアツーピア)取引所の重要性を強調した。

かつて個人同士のビットコイン取引を仲介するプラットフォームとして、LocalBitcoinsというサービスがあり、約10年に渡りグローバルに展開された。しかし、中央集権型の性質から、一部の国や規制当局からの監視や制限を受け、23年2月に完全に閉鎖した経緯がある。

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アームストロング氏は、P2P取引所の再興に向けた手段を募集する。スマートコントラクトを使って、エスクロー、紛争解決、そして前述の評判の管理を組み合わせが改良につながると期待する。

8. オンチェーンゲーム
ゲーム内のアイテムをNFTとして所有可能にし、現実世界の経済に結びつけたゲームを提供するアイデア。アームストロング氏は、仮想通貨とゲームとの結びつきはまだ発展途上にあるとの見解を示す。

例えば、テキストベースのアドベンチャーゲーム『A Dark Room』のようなシンプルかつ広く愛されているクラシックゲームを題材に、NFTアイテムを組み込み、ブロックチェーンベースの仮想現実(メタバース)で使用可能にすることで、ユーザーの関与を促進できないかと投げかけた。

9. リアルワールドアセット(RWA)のトークン化
現実世界の資産をトークン化し、それらをブロックチェーン上で取引可能な形にするアイデア。美術品、債権、不動産などが対象となる。アームストロング氏は、大規模な流動性がオンチェーンに乗ることで、これらの取引市場が効率的になる可能性があると述べた。

10. ネットワーク状況の可視化ツール
新たな経済圏やコミュニティを作成/管理するためのソフトウェアプラットフォーム。分散型自治組織(DAO)や特殊経済区などの実現を支援するツールが想定される。

ベースとなるのは、元コインベースのCTO(最高技術責任者)バラジ・スリニヴァサンによる著書『ネットワーク国家』。この本では、分散型ネットワークの力を利用して、国家のような組織を構築できる可能性について探求している。

アームストロング氏は、投票、統治、資金調達、市民権、徴税、サービス提供などの管理ツールが必要になり、これらが小さなコミュニティから新興国まで適用される可能性があると加えた。

最後に、アームストロング氏は「上記に挙げたものよりも優れたアイデアが存在するかもしれない。むしろ、存在してほしい」と強調。「この分野を発展させたい」と考える開発者のCoinbase Venturesサミットへの参加を求めた。また、Coinbase Venturesとして、サミット参加プロジェクトや、これをきっかけに発足する企業に投資する意欲を示している。

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