「ステーブルコイン自体は証券ではない」と説明
ステーブルコインUSDCoin(USDC)を提供する米サークル社は28日、バイナンス対米証券取引委員会(SEC)の訴訟をめぐり、地方裁判所に書面を提出した。「決済用ステーブルコインは証券ではない」との見方について自社の立場を説明している。
SEC側は、「バイナンスが提供する米ドル連動型ステーブルコイン『Binance USD(BUSD)』は有価証券にあたる」と主張しており、裁判結果次第では、ステーブルコイン関連事業を行う事業者を中心に、広範な影響が及ぶ恐れがある。
そのため、サークル社は今回の書面で「決済用ステーブルコイン自体は、投資契約の本質的な特徴を備えていない」と論じた。SECは、特定資産を有価証券判断する基準の一つとして、「投資行為によって、利益を合理的に期待できる」ことを挙げている。サークル社はこの点について、ステーブルコインは「定められた価値で償還される」という性質から、こうした基準を満たしていないと主張する格好だ。
サークル社は、SECとバイナンスのどちらに対しても中立の立場から、次のように主張している。
過去何十年にもわたる判例法に照らし合わせると、売り手による販売後の約束や義務というものが付属してこない資産売却のみでは、投資契約要件を確立するには不十分との見解を支持している。
また、通常ステーブルコインのユーザーは、トークンの購入によって利益を得ることは期待していないとも述べた。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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SECがBUSDを証券とみなす背景
BUSDは、価格変動を米ドルと1:1でペッグされた資産であり、値上がり利益などは期待できないようにみえる。
しかしSEC側の主張によれば、「バイナンスは、BUSDのエコシステム全体の魅力を投資家にアピールした上で販売されていたため、BUSDを有価証券だとみなす」と説明した。
BUSD購入者は、バイナンスの関連事業である「BUSDエコシステム」に投資し、そこではバイナンスの様々な形での資本展開により収益を得ることが可能だったと主張している。
具体的には、バイナンスは投資家のBUSDの購入による収益を準備金としてプールし、そこから得た投資収益の一部を、BUSDに潜在的な利益をもたらすバイナンスエコシステムの育成に使用していたとする形だ。
そして、バイナンスはこのエコシステムが提供する機能から、投資家が利益を得られる可能性を宣伝していたとも続けている。
BUSDとは
BUSDは、2019年にバイナンスとパクソスによって共同開発された。米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の認可の元、パクソスがその発行と保管などを行っていたトークンだ。
なお、NYDFSは今年2月、パクソスに対してBUSDの新規発行停止を命じている。理由としては、BUSD発行の認可はパクソスに、またイーサリアム(ETH)ブロックチェーン上での発行に与えたものであり他のブロックチェーン上で発行されるBUSDについては認可していないと説明していた。
バイナンスはBUSDをイーサリアム以外のブロックチェーンで発行しており、これが停止命令の原因だとした形だ。
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