仮想通貨利用調査で追加権限を要請
米国政府が暗号資産(仮想通貨)関連事業者への対策を強化している。政治専門メディアPoliticoが28日に報じたところによると、米財務省は議会に対し、ハマスなどの過激派組織が仮想通貨やフィンテックプラットフォームを利用することに対する調査を強化するための新たな権限を要請した。
米財務副長官のウォリー・アデイエモ氏は、米上院銀行委員会のシェロッド・ブラウン委員長やマキシン・ウォーターズ下院議員らに送った書簡で、テロリストや多国籍犯罪者が資金調達のためデジタル資産に着目していると述べ、これを防ぐための制裁システムの構築が必要であると強調した。
同書簡とそれに付随する立法案は、銀行やアセットマネージャー、その他の伝統的な金融機関に適用されるアンチマネーロンダリング規制をデジタル資産企業にも適用しようとする動きの一環である。
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米政府は制裁を強化
10月7日にパレスチナの過激派組織がイスラエルを攻撃後、米政府はハマスに対して少なくとも3回の制裁を科した。イランからの支援ルートなどを対象とし、ガザ地区を拠点とする仮想通貨取引所の運営者も含まれた経緯がある。
この動きに続き、アデイエモ氏は11月9日、米国とその同盟国が数週間内にさらなる制裁を課す予定であると述べた。この中には仮想通貨の使用に対する取り締まりも含まれる。
アデイエモ氏は、ハマスの資金調達源の多くは現在仮想通貨ではないとしつつも、仮想通貨業界が対策を強化し、マネーロンダリングに対する責任を真剣に受け止めない限り、ハマスや他の組織による仮想通貨の使用が増加すると警告した。
さらに、財務省の制裁担当トップ、ブライアン・ネルソンは同日、仮想通貨企業や支払処理業者と会合を開催し、ハマスの資金調達手法への対策を協議。マネーサービス業者、支払処理業者、ブロックチェーン分析企業から、武装集団の資金調達や移動手段に関する情報を収集し、ハマス関連の活動を調査、特定、妨害するための積極的な連携を約束した。
米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク (FinCEN)は10月、テロリズム対策の米国愛国者法311条の下で、仮想通貨の「ミキシング」取引を主要な資金洗浄の懸念事項と指定し、金融機関にその監視と報告を義務付ける規則を提案していた。
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