議論は膠着状態
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)コア開発者Luke Dashjr氏による提案は、今のところ実装のための十分な支持を集めることができていない。
Dashjr氏の提案は、ビットコイン版のNFT(非代替性トークン)とも呼ばれる「Ordinals(オーディナル)」の機能をビットコインL1から取り除くものだ。
github上で話し合いが行われていたが、コア開発者の一人Andrew Chow氏は5日、次のように述べて議論を打ち切っている。
Dashjr氏の提案は論争を引き起こしており、現時点で誰もが受け入れられる結論に達する見込みはない。今の時点では、この件について膠着状態のやり取りを続けることに意味はないだろう。
ビットコインのコード変更は過半数の合意がなければ認められない仕組みだ。
Dashjr氏の提案はビットコインコアの脆弱性に対応するもので、BRC-20やOrdinalsなどの発行機能を使えなくするものだった。
同氏は、ビットコインコアはトランザクションの余分なデータのサイズを制限できるようにしてきたが、これらのトークンの「Inscription(刻印)」という行為は、プログラムコードとしてデータを難読化することで制限を回避していると意見している。
トークン発行にはその分ブロックスペースが必要であり、BRC-20やOrdinalsトークンについては、以前よりネットワークの混雑や取引手数料の増加などの影響が懸念されていたところだ。
Dashjr氏の「datacarriersize: Match more datacarrying」という提案は、様々な種類のデータを含むトランザクションを制限することを目的とするものだ。
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Ordinalsに賛否両論
BRC-20トークンとOrdinalsに対する意見は、ビットコインコミュニティの中でも分かれているところだ。
支持者は、これらはビットコインへの関心を新たに高めるイノベーションであり、手数料の上昇も市場からの需要を示すものであると意見している。また、マイナーにとって新たな収益源を生み出すとの見方もある。
昨年12月には老舗オークションハウスのサザビーズがOrdinalsのアート作品で初めてのオークションを開催した。
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一方で、ビットコインの使命は価値の保存などにあり、トークンの作成と取引は、RGBやライトニングネットワークなどのサイドチェーンやレイヤー2ソリューションで行うべきだとする人々もいる。
その他、ノード運営者がコスト増加に直面する原因になるため、Ordinalsなどの取引にルールを設けるべきとの声も挙がっているところだ。
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