- 仮想通貨市場は内部崩壊の危機に直面している
- イギリスの調査会社Juniper Researchが「仮想通貨の将来」と題した有料レポートを公開し、「仮想通貨市場の指標は”内部崩壊”を示唆している」と報告した事が波紋を呼んでいる。
- ボラティリティが低下しても楽観的な姿勢保つBitwala社長
- そのような報道があってもドイツで世界初のビットコインとユーロを一つの口座で管理を可能にする Bitwalaの社長が仮想通貨の将来について言及し「仮想通貨には明るい将来がある」とした。
そもそものビットコインに対する評価や仮想通貨取引所の運営方針への懸念からこの(仮想通貨)業界が内部崩壊寸前まできている。
とイギリスの調査会社であるJuniper Research社は独自のレポート内で結論を発表した。
Juniper Research社がなぜこのような評価に至ったか要因を見ていく。
内部崩壊寸前の要因とは
要因1:日間取引量の減少
仮想通貨の元祖であり、本稿執筆時点で52%以上の市場ドミナンス(占有率)を誇るビットコイン の日間平均取引量は2017年後半の360,000から今年9月には230,000と約37%の減少を記録。
今年第1四半期においてその指標は約37億ドルから6.7億ドルまで激減したとJuniper Research社は報告している。
またJuniper Research社が公開したホワイトペーパー内では
第3四半期の前半の動きから予測すると、今四半期の完了時には第2四半期と比べてさらに47%の日間平均取引量減少がみられる。
という調査を基に同社の予測を明らかにした。
要因2:仮想通貨市場の規模縮小
さらに挙げられたのが仮想通貨市場の全体的な時価総額の劇的な縮小だ。
実際に比較してみるとその差は歴然としている。
こちらはコインチェック事件前の1月初旬の仮想通貨市場の総体的な時価総額。
時価総額は約8200億ドル(約93兆円)で日間取引量は4300億ドルだった。
対象的にこちらは本稿執筆時点、10月10日の仮想通貨市場の様子。
仮想通貨市場の時価総額は1月の25%程度で2190億ドル(約24.7兆円)で日間取引量も同じく75%減の1100億ドル付近を推移している。
なお、ビットコインの価格は10月に入ってから75万円台を推移して今月に入ってから過去最低のボラティリティを記録している。
要因3:金融システム崩壊の中でも見られなかった価格上昇
3つ目の点として挙げられたのが仮想通貨が既存の金融システムより優っている条件下でも価格上昇が見られなかった点だ。
ビットコインは元々、従来の金融市場が2008年の金融危機で崩壊していた時に提案されたものだ。
ベネズエラやイラン、ロシアなど、法定通貨が機能していなかったり、経済制裁が下されている国など、金融システムが市場の期待に応えられない時に仮想通貨が行きつけとなる傾向があった。
しかしアメリカと中国の貿易関係におけるトラブルや、俗に言うブレクジットに関与するトラブルなど、専門家が言う「仮想通貨の長所を活かすには最高の条件」があったにも関わらず仮想通貨市場が上昇しなかった事も懸念に繋がっている。
要因4:仮想通貨取引所への懸念
その他にも度々発生するハッキング事件から見られる仮想通貨取引所のセキュリティ面での不安も業界に対して懸念を引き起こしている。
日本の取引所では、先月被害を受けたZaifが標準的な割合より多く仮想通貨や顧客資産をホットウォレットで保有していた事が不正流出の要因の一つと言えるだろう。
これらの要因からJuniper Research社は仮想通貨が内部崩壊の危機に直面しているという厳しい評価を下した。
楽観的な姿勢保つBitwala社長
しかしそのような報道があってもブロックチェーンベースの銀行サービスを提供しているドイツに拠点を置くBitwalaの社長、Joerg Von Minckwitz氏は肯定的な姿勢を崩していない。
仮想通貨市場は規制など、様々な問題に直面して、市場の動きは落ち着いていたが、その間は我々はプロダクトを開発する貴重な時間が与えられた。
しかしその間(市場が低迷した中で)市場は成熟したのだ。
仮想通貨とビットコインには明るい将来が待っている。
と価格が全てではない事を強調した。
このような意見は開発者コミュニティーから多く見られ、仮想通貨の時価総額ランキング7位(本稿執筆時点)のライトコイン創設者であるチャーリー・リー氏も幾度となく同意見を発している。
弱気相場は技術開発に専念するには良い時だ。
先日の仮想通貨市況でも報道した様に、直近数日になると予想されるブレイクポイントがキーポイントとなりそうだ。