はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX

米裁判所がエネルギー情報局に制止命令、マイニング企業のデータ収集要請に「待った」

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

回復不可能な損害を被る可能性

米テキサス州ブロックチェーン評議会(TBC)と暗号資産(仮想通貨)マイニング企業Riot Platformsによる米エネルギー情報局(EIA)に対する訴訟で、テキサス州西部地区連邦地方裁判所は23日、EIAの緊急調査を一時的に阻止する仮制止命令(TRO)を認める判断を下した。

仮制止命令が下された

(Riot Platform、ピエール・ロシャール研究部門統括責任者)

米国エネルギー省の統計・分析機関であるEIAは先月末、国内の仮想通貨マイニング企業を対象に、電力消費量のデータ収集を開始すると発表。特定されたマイニング企業は、電力使用に関して詳細に回答することが求められた。

EIAのマイニング企業に対する調査は、アメリカ合衆国行政管理予算局(OMB)によって、緊急データ収集要請として1月26日に承認されたもので、運営施設数や所在地、マイニングによる使用電力の割合、マイニング機器の仕様や性能に関する詳細や契約内容など、機密性の高い情報の提供も含まれていた。

関連:米エネルギー情報局、仮想通貨マイニング企業に「緊急データ収集」要請

TBCとRiotは22日、EIAの要請は「不自然で自ら招いた緊急性に基づいた杜撰な手続きと、政府による侵略的なデータ収集」であるとして、EIAと米国エネルギー省、OMBを提訴した。裁判所が介入しない限り、原告をはじめとするマイニング企業は、違法であるにも関わらず、EIAから機密情報や極秘情報を開示することを余儀なくされ、「即時に回復不能な損害」を被ることになるとして、TROの発令を求めた。

EIAの主張と裁判所の判断

EIAは、緊急調査要請の根拠として、ビットコイン( BTC)価格の急騰によりマイニング活動が活発化し、米国の電力業界に与える影響についての懸念が高まっていると指摘。また、大寒波により電力需要が高まる中、需要のピークを引き起こす可能性があり、このような「公共的な危害の可能性」を定量的に評価するため、「緊急に」信頼できるデータ作成が必要だと主張した。

これに対し、裁判所は行政によって情報提供の「緊急要請」が可能なのは、「一刻を争う緊急事態において、通常の手続きでは公共の危害が生じる可能性が高い」と判断される場合に限定されていると指摘。EIAの示した根拠は、「恣意的、気まぐれ、または裁量権の乱用」として行政手続法(APA)に違反する可能性が高いと述べた。

また、EIAは調査完了までの推定時間が30分であり、コンプライアンス遵守のコストは最小限であると主張したが、原告側による検証で、そのコストは40時間を超えるものだと判明。裁判所は、調査内容を検討した結果、30分という作業完了推定時間は、極めて不正確だと判断し、原告側の主張を受け入れた。

さらに、原告らは本件で勝訴する可能性が高いことも証明したと付け加えた。

今回裁判所が下したのは、仮制止命令(TRO)であり、EIAが強制執行の意図を示した3月25日までがその有効期限となっている。最終判決が下されるまでの予備的差止命令(preliminary injunction) に関する審議は2月28日に行われる予定だ。

EIAの対応

裁判所からのTRO発令を受けて、EIAはマイニング企業に対し、調査に関する以下の措置を発表した。

EIAは2024年3月22日まで、Form EIA-862の提出を義務付けることはなく、調査に回答しなかったことに基づく罰金、罰則、その他の不利益を求めることも課すこともない。
さらに、EIAは2024年3月22日まで、Form EIA-862に回答した当事者から受け取ったいかなるデータも封鎖し、利用することはない。

TBCのリー・ブラッチャー会長は、「EIAの行動は、正当な理由も適切な手続きもなく、政府が民間企業の業務に介入するという憂慮すべき前例を示すものである。」と批判。今回の裁判所の判断は、EIAとエネルギー省が法を遵守していないことの証明だとコメントした。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
17:55
イーサリアムFusakaアップグレード、テストネットSepoliaで有効化 12月メインネット実装へ 
イーサリアムの次期アップグレード「Fusaka」が10月14日、テストネットSepoliaで稼働開始した。PeerDAS技術により処理負担を大幅軽減し、取引速度を最大12,000件/秒まで向上。12月のメインネット実装に向けて段階的にテスト展開中。年内2度目の大型アップグレードでスケーラビリティをさらに強化へ。
17:28
コインチェックグループ、機関投資家向け事業を強化
Coincheck Groupが仏Aploの買収を完了し、国内では事業法人向けクリプト・トレジャリー支援を開始。海外と国内の両面で機関投資家向け事業を拡大する。
17:19
コインベース、インド大手の仮想通貨取引所CoinDCXへ投資 評価額3700億円相当
米暗号資産取引所大手コインベース・グローバルが、インドの暗号資産取引所CoinDCXに追加出資。投資後の企業価値は24.5億ドルと評価される。この出資はCoinDCXが今年7月にハッキング被害に遭った数カ月後。コインベースはインドと中東地域での事業拡大を目指す。
15:00
ブラックロックCEO、資産トークン化を次の成長戦略に 620兆円市場狙う
ブラックロックのラリー・フィンクCEOが、不動産から株式・債券まであらゆる資産のトークン化を次なる成長戦略と位置づけた。世界のデジタルウォレットに保管された約620兆円の資金に着目し、ETFのトークン化を視野に入れている。
14:15
ソルメイトが75億円相当ソラナを購入、キャシー・ウッドのアークが主要株主に
ナスダック上場のソルメイト・インフラストラクチャーがソラナ財団から75億円相当のSOLを15%割引で購入。米大手ヘッジファンドアーク・インベストが11.5%の同社株を保有している。
13:45
バイナンス、仮想通貨の上場費用告発を否定
バイナンスはリミットレス・ラボのヘザリントンCEOがトークン供給量の8%要求を告発したことに対し、虚偽で名誉毀損的だと反論。取引所は上場手数料を請求していないと表明した。
13:20
ニューヨーク市、全米初の自治体仮想通貨専門局を設立
ニューヨーク市のアダムス市長が行政命令に署名し、全米初となる自治体の仮想通貨・ブロックチェーン局を設立した。モイセス・レンドン氏が局長に任命され、責任ある仮想通貨の利用を促進する。
11:40
バイナンス、韓国への再進出なるか 当局がGopax買収で二年半ぶりに審査再開=報道
韓国当局が仮想通貨取引所バイナンスのGopax買収審査を約二年半ぶりに再開したと伝えられる。米国での訴訟取り下げが背景で、今年中の役員変更承認の可能性もある。
11:25
テザー、セルシウス破産管財団に約450億円和解金支払う
ブロックチェーン・リカバリー・インベストメント・コンソーシアム(BRIC)は、テザーがセルシウスネットワークの破産管財団に約450億円を支払ったと発表した。2024年8月に提起した訴訟が和解に至った。
10:40
ウィズダムツリー、ステラ(XLM)ETPを欧州市場で上場
米ウィズダムツリーがステラブロックチェーンのネイティブトークンであるXLMに投資できるETPを欧州で立ち上げた。現物裏付け型で管理報酬は0.50%と欧州最低水準となる。
10:25
米カリフォルニア州、休眠仮想通貨の強制清算を阻止する法案成立
米カリフォルニア州で休眠仮想通貨の自動清算を禁止する法案が成立。現物のまま州政府に移転され所有者は価格上昇時に恩恵を受けられるようになる。
10:20
イーロン、ビットコインのエネルギー基盤構造を評価
イーロン・マスク氏は、仮想通貨ビットコインは法定通貨で見られる増刷による価値低下に耐性があるとの見方をXに投稿。最近はマスク氏がビットコインに言及するのは珍しい。
08:00
S&Pグローバル、チェーンリンク経由でステーブルコイン評価を提供開始
S&Pグローバルがチェーンリンクと提携し、ステーブルコイン安定性評価をブロックチェーン上で提供すると発表した。格付け機関の評価がスマートコントラクトで直接利用可能になるのは業界初となる。
07:10
メタプラネットの企業価値、初めて保有ビットコインの価値を下回る
仮想通貨ビットコインの財務戦略企業メタプラネットは、mNAVが一時的に初めて1を下回った。これは、市場がメタプラネットを保有するビットコインの価値よりも低く評価していることを意味する。
07:00
ブータンが国民IDシステムをイーサリアムに導入、世界初の事例に
ブータンが国民デジタルIDプラットフォームをイーサリアムに統合し、人口規模のID管理システムを公開ブロックチェーンに接続した初の国となった。2026年第1四半期までに完全移行を予定している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧