CZ氏に懲役4か月
米ワシントン西区地裁判事は4月30日、暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ氏)前CEOに懲役4か月の判決を下した。
検察側は、CZ氏とバイナンスが、米国のユーザーを標的にして意図的に米国の法律に違反したと主張し、3年間の懲役を求刑していた。
法律違反は見落としなどではなく、ビジネスを成長させるための方法としてCZ氏が決断したものだと申し立てた格好だ。
一方で、連邦地方裁判所のリチャード・ジョーンズ判事は、CZ氏は違法行為について知らされていた証拠はないとして、懲役3年には同意しなかった格好だ。また、CZ氏が再犯する可能性は低いとしている。
今回、量刑を決める法廷で、CZ氏は謝罪し、自分の「間違い」の責任を取りたいと述べた。バイナンスは顧客身元確認とマネーロンダリング対策プログラムを導入しており、政府と協力して動いているとも話している。
米国当局は、故意にマネーロンダリング防止規制を回避し、それにより、米国の経済制裁対象となっているイラン、キューバ、シリアのユーザーにも取引することを可能にしていたなどとしてバイナンスやCZ氏を追及していたところだ。
CZ氏は昨年11月、銀行秘密法違反などを認めて規制当局と和解し、バイナンスを退任した。5,000万ドル(約79億円)の罰金を支払うことにも同意している。
3月には、バイナンス退任後のプロジェクトとして、世界の恵まれない子供たちに基礎教育を無料で提供するプログラム「Giggle Academy」に取り組んでいくと発表した。
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また、バイナンスは昨年11月に米財務省と和解しており、マネロン対策と制裁法違反で合計43億6,800万ドル(6,900億円相当)の罰金を支払うことになった。財務省史上でも最大級の額である。
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量刑の緩和材料
CZ氏の弁護士は、今回の件と類似した銀行秘密法違反事件で収監を言い渡された被告はこれまでにおらず、したがってCZ氏に懲役刑は値しないと申し立てていた。
また、ジョーンズ判事も、47歳のCZ氏がこれまで法律に違反したことがないことや、法執行機関と協力していることなどを引いて、これらの事項は量刑の上で緩和的に働くと述べている。
また、量刑を軽くするよう求める160通を超える支援の手紙が、家族、友人、仮想通貨業界から提出された。
罰金額の低さを指摘する意見も
一方で、金融システムについて提言する米非営利団体Better Markets(ベターマーケッツ)のデニス・ケレハーCEOは、CZ氏の支払う罰金額は少ないと指摘している。
司法省は5,000万ドルの罰金しか科しておらず、これはCZ氏の保有する資産のほんの一部であり抑止的に働くものではないと意見する形だ。ブルームバーグによると、現在CZ氏の純資産は約362億ドル(約5.7兆円)だと見積もられる。
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