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エチオピアの仮想通貨事情、禁止から規制へ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

政府が方針転換

暗号資産(仮想通貨)カルダノ(ADA)のアフリカにおける投資・商業部門「Emurgo Africa」は、新たなレポートでエチオピアの仮想通貨を取り巻く状況について報告した。

エチオピアは、この2年間で暗号資産(仮想通貨)の全面禁止から、仮想通貨とブロックチェーン技術のメリットを慎重に検討する方向へと転換してきた。現在同国では ビットコイン(BTC)マイニングが活発化し、モバイル送金サービスも成長を続けている。

エチオピア国立銀行(NBE)は2022年6月、仮想通貨取引を違法とする声明を発表。国内で取引した場合は法的措置を講じると警告した。

しかし、その2ヶ月後の2022年8月、エチオピア政府は大きな方針転換を図る。情報ネットワークセキュリティ庁(INSA)は、すべての仮想通貨事業者に対し同庁への登録を義務付ける指令を出し、規制を通してリスクをコントロールした仮想通貨の使用を許可する方向へ舵を切った。

エチオピアでは仮想通貨の使用を許可する法律はまだ定められていないが、政府は国際送金やデジタルIDの利用など、ブロックチェーン技術の利点を十分に認識してしている。INSAとその他の政府関連団体は現在、仮想通貨セクターの運営、経済的影響、環境への影響について包括的な監督を行うことを目的としたガイドラインを策定中だという。

アフリカで2番目に多い1億2,300万人の人口を抱えるエチオピアでは、個人投資家の積極的な活動の幅が拡大しており、仮想通貨ユーザーは180万人を超えている。

安価な電力とマイニング事業

レポートによると、エチオピアには約5,200MWの発電設備があり、水力発電が全体の約90%を占めているという。さらに新たなダムの建設が最終段階を迎えており、5,150MWの容量が見込まれている。

首都アディスアベバは、安価な電力と運営コストの低さから、ビットコインのマイニングに適した地として、世界中の個人マイナーから注目を集めている。特に2021年に仮想通貨取引とビットコインマイニングを禁止した中国からのマイナーの流入が急増した。

エチオピアでは2022年以降、ビットコインマイニングを許可している。同国はこの10年間、中国との関係を強化してしてきたが、マイニング事業も例外ではないようだ。

エチオピアのエネルギー庁は21のマイニング企業と電力契約を結んでいるが、そのうちの19社は中国企業だったとブルームバーグが報じた。ダムの建設にも多くの中国企業が参加した。

今年2月、エチオピア政府の投資部門であるEthiopian Investment Holdings(EIH)は、香港に拠点を置くWest Data GroupのCenter Serviceと、2億5000万ドル(約393億円)の契約を結び、ビットコインのマイニング事業を開始する運びとなった。

モバイル送金サービスの拡大

エチオピア政府は、金融包摂問題解決のためにも、イノベーションと技術進歩の促進に力を入れている。中でもモバイル送金は、これまで銀行口座を持たなかった層の受け皿として注目されている。

同国のフィンテック環境と規制の枠組みが整備されたことにより、モバイル送金サービス「M-PESA」が、エチオピア市場に進出した。M-PESAはケニア最大の通信事業者SafaricomとVodafonの提携で誕生した企業で、ケニアはもとよりタンザニアでも成功を収めた。

M-PESAはエチオピア中銀からライセンスを取得し、エチオピア市場での利用を拡大しつつある。現在、同社のネットワークは人口の33%をカバーし、310万人のアクティブユーザー、2万6,000の現金引き出し地点、4万3,000の加盟店を抱えているという。

エチオピアの通信企業Ethio Telecomは、3,400万人のユーザーを抱え、独自のモバイル送金サービスを運営する競合会社だが、仮想通貨の採用という点ではM-PESAが先んじている。M-PESAは、大手仮想通貨取引所バイナンス及びPaxfulで仮想通貨とステーブルコインの売買が可能だ。

M-PESAのプラットフォームに慣れ親しむことで、エチオピアの人々が仮想通貨の売買に簡単に対応できるようになるとレポートは主張した。

デジタルID

エチオピアでは、教育における不正、例えば卒業証書や成績証明書などの偽造が蔓延しており、雇用主や学術機関、そして学生自身にとっても大きな問題となっている。

政府はこの問題に対処するため、2021年にInput Output Global (IOG)と 提携し、カルダノ・ブロックチェーンを基盤とする学生向けのデジタルIDプログラムを、約3,000校に導入した。

政府はIOGとともに、分散型デジタルIDソリューションを用いて、国内の学生と教師の資格情報に関する全国データベースの作成を目標に掲げている。

ブロックチェーン技術により、改ざんや偽造のリスクを排除し、学歴の真正性を確保することで、個人の学歴確認のために信頼できる手段を提供する。また、承認された関係者のみがアクセスできるため、学生のデータのプライバシーと機密保持が高められる。

このような取り組みを評価した世界銀行は昨年12月、エチオピア国民9,000万人を対象としたデジタルID促進のため、3億5,000 万ドル(約551億円)の融資パッケージを承認した。

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