「仮想通貨ユーザー保護法」を施行へ
韓国政府は25日、「暗号資産(仮想通貨)ユーザー保護法」の施行に関する新法案を承認した。7月19日から施行される同法と同時に施行され、保護法の具体的な手順などを規定するものだ。
仮想通貨ユーザー保護法は、未公開情報にもとづく取引や、価格操作、詐欺などの違法な市場行為を根絶することを目的としている。
仮想通貨事業者に、顧客資金の80%以上をコールドストレージで保護することや、ユーザーに補償するための保険プログラムに加入することを義務付ける内容を盛り込むものだ。
韓国の金融サービス委員会(FSC)は先日、この法案と関連して、NFT(非代替性トークン)と仮想通貨を分類するガイドラインを発表している。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
▶️仮想通貨用語集
施行令の具体的な内容
今回の新施行令では、主に以下の内容が定義された。
- 諮問委員会の定義と設置
- 仮想通貨ユーザーの預金管理
- ユーザーの仮想通貨の保護
- 不正な取引活動の禁止
金融サービス委員会(FSC)は、仮想通貨政策と規制について協議するために、諮問委員会を設立する。委員会は、関係政府省庁の代表者と民間セクターの専門家で構成される形だ。
ユーザー預金の管理について、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)は、預金を銀行に保管する必要がある。VASPが倒産したり事業登録が取り消された場合には、銀行がユーザーに直接返金することになる。
ユーザーの仮想通貨保護については、コールドウォレットに保管する資産の割合やウォレットの具体的な要件は、VASPの監督に関する下位ルールで規制される。FSCがある事業者に特定の保管率を指定することもある。
不正取引については、VASPは定期的に取引を監視する必要があると規定された。仮想通貨の価格や取引量が異常に変動している場合や、価格に影響を与える可能性のある噂などがある場合に重点を置くという。
この法律の施行により、仮想通貨の不正取引行為は刑事罰および課徴金の対象になる。懲役刑、行政罰金、課徴金の重さは、不当に得た利益の額によって決まる形だ。
その他には、通信ネットワークエラーや、法律に基づきユーザーの資産が犯罪に関連すると見なされる場合など正当な理由がある場合、VASPはユーザーの入出金をブロックすることもできると規定された。
韓国のWeb3戦略コンサル企業「DeSpread」によると、韓国では米国や日本と比較しても、グーグルの検索結果から仮想通貨に関心が高いことが窺われる。これを反映するように2023年には、韓国の取引所Upbitがスポット市場において、バイナンスに次ぐ取引量を記録していた。
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