NFTの分類ガイドライン
韓国の金融サービス委員会(FSC)は、暗号資産(仮想通貨)に相当するNFT(非代替性トークン)を定義するガイドラインを発表した。Yonhap newsが10日に報じた。
まず、「コンテンツ収集目的」で取引される一般的なNFTは仮想通貨の範囲から除外される。さらに、区別があいまいなNFTは、証券に当てはまるかどうか検討され、証券に当てはまらない場合は、仮想通貨に該当するかが検討されるという方式だ。
ガイドラインによると、以下のようなNFTが仮想通貨とみなされる可能性が高い。
- 大量に発行され、NFT同士の代替可能性が大きい場合
- 分割可能で、固有性が大きく減じている場合
- 特定の財産やサービスの支払手段として使用できる場合
- 仮想通貨との連携などにより、財・サービスへの支払いが可能な場合
なお分割可能とは、1つのNFTが小数点単位で分けられる場合のことをいう。また、仮想通貨との交換のみを目的として発行されたNFTは仮想通貨とみなされる可能性が高い。
金融委員会のチョン・ヨソプ氏は「NFTを例えば100万枚発行した場合、取引が多くなり、支払い用途にも使われる可能性がある」「大量に発行した場合には、収集目的のような一般NFTとは異なる目的がある可能性が高い」と説明した。
ただし、金融委員会は、絶対的な基準を設けることはせず、ケースバイケースでそのNFTの性質を判断していく方針だ。
NFT発行事業者については、仮想通貨に該当するNFTを発行する場合、韓国の「特定金融情報法」に従って仮想通貨事業者として申告を行う必要がある。
NFTの仮想通貨該当性については、日本の金融庁も昨年3月、判断基準についてコメントを発表していた。
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NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
▶️仮想通貨用語集
7月より「仮想通貨ユーザー保護法」を施行
韓国では7月19日から新たな仮想通貨の規制枠組み「仮想通貨ユーザー保護法」が施行される。今回のNFTガイドラインは、これに先行するものだ。
「仮想通貨ユーザー保護法」は、未公開情報にもとづく取引や、価格操作、詐欺的な取引などの違法な市場行為を根絶することを目的としている。
仮想通貨事業者には、ユーザー資金保護のために顧客資金の80%以上をコールドストレージで保護することや、セキュリティ侵害が発生した場合にユーザーに補償するための保険プログラムに加入することが義務付けられる。
さらに韓国では、仮想通貨トークンの発行と投資家への情報開示の標準化に重点を置く規制法案も策定されているところだ。
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