訴えを強化するねらい
米証券取引委員会(SEC)とバイナンスUSを含む被告の両当事者は、7月9日の裁判所の訴訟進行指示に従い、それぞれの立場を説明する共同応答書を29日に提出した。訴えの妥当性や証拠追加の動きが注目されている。
SECの提案には、訴状の修正のための許可を求める意向が含まれている。修正には「第三者暗号資産証券」に関する内容も含まれており、現時点でこれらのトークンに関する訴えの妥当性について裁判所が判断する必要がなくなるという。
「第三者暗号資産証券」に関連する主張は、第三者によって発行・管理される暗号資産を基にした証券に関するものであり、どのように発行・取引され、規制されるべきかについての法的および規制上の問題が含まれるものと見られる。
ただし、現時点では「第三者暗号資産証券」に関する具体的な修正内容は明らかになっていない。
当初、SECはバイナンスが取引を提供しているBNBやバイナンスUSD(BUSD)に加え、コスモス(ATOM)、ソラナ(SOL)、エイダ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、ファイルコイン(FIL)などの12トークンが有価証券に該当すると主張していた。
SECの提案に対し、被告側は、SECの修正された訴状を確認するまで、発見手続の開始に同意できないと主張している。被告には、バイナンス・ホールディングス・リミテッド、BAMトレーディング・サービス・インク、BAMマネジメントUSホールディングス・インク、そしてチャンポン・ジャオ氏が含まれている。
修正と関連する書類のスケジュールには時間がかかる見込みだ。SECはまず修正申立てを行い、その後被告がこれに対する同意または反対の回答を提出する。続いて、SECが修正申立てを支持する返信を行い、その後被告が回答または異議申立てを行う。最終的に、SECが被告の異議に対する返信を行うという流れで進む予定、全体のスケジュールは、約5~6か月かかる見込みだ。
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バイナンスUSに有利な一次判決
7月11日には、エイミー・バーマン・ジャクソン判事が、バイナンスUSに対するBUSD、Simple Earn、およびセカンダリーBNB販売に関するSECの請求を棄却する判決を下していた。この判決は、仮想通貨トークンのプログラム販売が証券ではないという判例を支持するものだ。
裁判所は、さらなる手続きのために7月29日までに共同提出書類を提出するよう指示していた。この経緯から、SECは訴状を修正し、訴えを強化するためにより多くの証拠を追加することを目指している。
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