世界最大規模の政府系ファンドによる間接投資
K33リサーチによれば、ノルウェー王国の政府系ファンド(GPFG)は現在、仮想通貨ビットコインを保有する米上場企業への投資を通じて、2,446ビットコインへの間接的なエクスポージャーを有している。
今回のデータから、ノルウェー国民は同国の政府系ファンドによる投資で、2024年上半期時点で一人当たり27ドル(約4,000円)相当のビットコインを間接的に所有していると試算できる。
政府系ファンド(Sovereign Wealth Fund, SWF)は、政府や国家が保有・運用する投資ファンドであり、国内外の様々な資産(株式、債券、不動産、インフラ、プライベートエクイティなど)に投資し、長期的な視野でリスク分散を図りながら国家の富を増やすことを目的としている。特に有名なのは、ノルウェーの政府年金基金グローバル(オイルファンド)、アブダビ投資庁(ADIA)、中国の中国投資有限責任公司(CIC)などである。
ノルウェー中央銀行が運用を担当するノルウェーの政府年金基金グローバルは世界最大規模の政府系ファンドであり、2024年初頭時点で運用資産額は約1.4兆ドル(約200兆円)に達していると報告されている。
政府年金基金グローバルが保有する仮想通貨関連企業のポートフォリオには、マイクロストラテジー、取引所コインベース、決済企業ブロック、ビットコインマイニング企業マラソンなどが含まれ、2024年上半期にマイクロストラテジー株の保有比率を0.67%から0.89%に増加させた。マイクロストラテジーは同期間にビットコインの保有量を37,181 BTC増やしている。
また、マラソン株の保有は2024年上半期に0%から0.82%へ、コインベースは0.49%から0.83%へ、ブロックは1.09%から1.28%へ増加している。
株価の年初来騰落率については、マイクロストラテジーが+94.16%、マラソンが-29.18%、コインベースが+4.15%、ブロックが-8.79%となっている。
ノルウェーの人口は2024年時点で約550万人。K33リサーチは、上述の企業が保有するビットコインの総数をもとに、ノルウェー国民一人当たり約4,000円相当のビットコインを間接的に所有していると試算している。また、2023年12月31日以降、全体で938 BTCが増加している。
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K33リサーチのシニアアナリストであるヴェトル・ルンデ氏は、今回のX投稿で「ビットコインへの間接的なエクスポージャー増加は、事前に決定されたアルゴベースのセクター・ウェイトとリスク分散に起因すると思われる。もし、BTCへのエクスポージャーの増加が目的であれば、直接的なエクスポージャーのイニシアチブの証拠(そして、著しく大きなエクスポージャー)がもっと見られるはずだ」とコメントしている。
国規模でビットコインへの間接投資を行うファンドは、現在増加傾向にある。最近では、約120兆円の資産を運用する韓国の国民年金公団がマイクロストラテジーやコインベース株を大量に保有していることが明らかになった。
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