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『ビットコイン大量購入、メタプラネットの戦略』サイモン・ゲロヴィッチが特別講演|WebX2024

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

メタプラネットのトップが登壇

国際Web3カンファレンス「WebX2024」において、株式会社メタプラネットの代表取締役社長サイモン・ゲロヴィッチ氏が特別講演を行い、企業財務におけるビットコイン(BTC)活用戦略などについて語った。

東証スタンダード上場企業として日本国内最大規模のビットコイン保有を続けるメタプラネットの取り組みは、米国のマイクロストラテジーの先例に続く動きとして注目を集めている。

米上場企業のマイクロストラテジーは、2020年8月から大規模なビットコイン購入を開始。その後、社債などを発行して資金調達をしつつ、大規模なビットコイン買い増し戦略を続けてきた。マイクロストラテジーのマイケル・セイラーCEOは、ビットコインを価値の保存手段の一つとして、デジタルゴールドと位置付けている。

マイクロストラテジーのビットコイン保有量は226,500BTCに達しており、米国株式市場では、ビットコインの市場価格に相関して、マイクロストラテジーの株価が連動する場面も少なくない。

マイクロストラテジーは今年7月に株式分割を発表したが、年初来で一時約2倍まで高騰した。

一方、東証スタンダード上場企業のメタプラネットは2024年4月からビットコインを財務資産として断続的に購入し始めた。8月時点で360.368BTCを保有している。

9月2日には、暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するSBI VCトレードが、メタプラネットと提携し、ビットコイン取引・保管・運用における各種サポートを開始することを発表した。

関連:SBI VCトレードがメタプラネットとの提携を発表 ビットコインの取引・保管・運用面で

関連メタプラネット、5億円相当のビットコインを追加購入

今年7月には、米テネシー州ナッシュビルで開催され、トランプ前大統領の登壇で反響を呼んだ「ビットコインカン・ファレンス2024」にて、企業のビットコイン導入を促進するため、ビットコインマガジンとマイクロストラテジーが立ち上げた「Bitcoin for Corporations」イニシアチブの創設メンバーとして参加することを明らかにした。

トランプ前大統領は、今年11月の選挙で大統領に返り咲いた場合、米司法省が保有する約21万BTCを売却せず、国家戦略的な備蓄に充てる予定だと踏み込んだ発言をしている。

関連:トランプ前米大統領、ビットコインを「国家戦略準備金」に充てる方針示す ゲンスラーSEC委員長の解任にも言及

講演内容

今回WebX2024のステージでゲロヴィッチ氏には、企業の財務準備資産として日本国内で最も多くのビットコインを保有し、買い増しを続けるメタプラネットの戦略などについて語ってもらった。

ビットコインを購入し始めた理由

まず、同社がビットコインを購入することになった理由について聞くと、コアビジネスであるホテル事業の不振を挙げた。ホテル運営は良いビジネスモデルであったが、コロナウイルスの感染が拡大し、環境が一変したという。

その後に事業の縮小を図ったが、ゾンビ企業のようになったと説明。その時に、個人的にずっと強い関心を持っていたビットコインを思いつき、幹部を集め、今後について話し合ったと述べた。

ゲロヴィッチ氏は2013年に個人的にマウントゴックスで初めてビットコインを買い、何年もの間、事業にビットコインを活用できないかを探っていたという。

そして、運営していたホテルを売却することを決断。メタプラネットはビットコイン戦略を実行することを決め、その資金を使ってビットコインを購入したという。

幹部には他にビットコインを知っているメンバーはいなかったが、事業がうまくいっていなかったことやマイクロストラテジーという参考書があったことがビットコイン戦略を後押ししたようだ。

なお、メタプラネットはホテル事業で五反田にある物件だけを保有している。

ホテル事業

ゲロヴィッチ氏は自社の事業で中心にあるのは、現在もホテル事業だと話した。一方でその際、現在保有しているホテルを「ビットコインホテル」にする計画に取り組んでいると明かしている。

日本人だけでなく、海外から旅行に来た人も対象にすると説明。ホテルではビットコインについて学べたり、ビットコインの歴史を知ったりできるようにする計画だと述べている。

そして、現在は設計士や建築家と協業している段階だと語った。

今後の成長戦略

ビットコインメディア「ビットコインマガジン」の独占運営権を取得したことなど今後の事業に注目が集まる中、ゲロヴィッチ氏は成長戦略についても話している。

今後の目的の1つは「1株当たりの純利益」ではなく、「1株当たりのビットコイン数」を増やすことだと説明。そして、世界の投資家にレバレッジが効いたビットコインへのエクスポージャーを提供したいと語った。

まだ現時点では明確になっていない事業もあるが、さらなる収益を得られるようにするため、パートナーシップの機会も探っていくとしている。

そして、その収益でビットコインを買い増ししていくと話した。

ビットコインの価格予想

最後にゲロヴィッチ氏にはビットコインの価格予想をしてもらった。その際、自身はかなり強気だと前置きした上で、5年以内に1BTC=100万ドルに到達すると予想している。

根拠までは説明していないが、ドル建ての価格だけを予想。円建ての価格は、為替レート次第でさらに上昇している可能性はあるが、その時のドル円相場に依存すると語った。

なお、メタプラネットのビットコイン購入方法については、取引所での購入とOTC(相対)取引を組み合わせていると説明している。

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関連:ビットコインETFは日本で買える?現物BTCとのメリット比較や関連銘柄の買い方も紹介

▼登壇者概要

サイモン・ゲロヴィッチ(メタプラネット代表取締役社長)

2014年からデジタル資産のエコシステムに積極的に投資し、ゴールドマン・サックス証券で株式デリバティブトレーダーとしてキャリアをスタート。

アジアのバリューホテルセクターに特化した地域ホテル会社、レッドプラネットホテルズの共同設立者兼会長。レッド・プラネット・ホテルズ設立以前は、タイ証券取引所に上場する不動産資産運用会社、エボリューション・キャピタル・パブリック・カンパニー・リミテッドの最高経営責任者を務めた。

メタプラネットの社長として、同社の新しいビットコイン投資戦略の陣頭指揮を執り、全体的な方向性の指導、資本調達、投資家関係の管理を担当している。ハーバード大学で応用数学の学士号を取得。最高経営責任者の世界的組織であるYPOのメンバーでもある。

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