SECの職権濫用と批判
イーサリアムの主要な暗号資産ウォレットMetaMaskの開発元であるConsensysが、20%の従業員を削減すると発表した。創業者兼CEOのジョセフ・ルービン氏は10月29日のブログ投稿で、マクロ経済の状況と規制の不確実性を理由に挙げた。
ルービン氏は声明で「競争力を維持するため、より機敏で効果的、そしてさらに高いパフォーマンスを発揮できるよう、自社を再構築する必要がある」と述べた。この決定は、Consensysが継続的な急速なイノベーション、潜在的に不安定なシナリオ下での長期的な持続可能性、そしてWeb3分野でのリーダーシップを維持するための「困難だが賢明な決断」だと説明している。
Consensysは米国証券取引委員会(SEC)との法的争いに巻き込まれている。また、SECはMetaMaskのスワップサービスを通じてブローカーとして登録していないことを理由に、Consensysを提訴している。
ルービン氏は「SECとの複数の訴訟、特に我々の場合は、SECの職権濫用と議会の問題解決の不備により、多くの有意義な職や生産的な投資が失われている」と指摘し、「このような米国政府からの攻撃は、最終的に多くの企業に何百万ドルものコストを負わせることになるだろう」と続けた。
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今回の人員削減の背景には、過去1年間のマクロ経済状況と継続的な規制の不確実性が業界に課題をもたらしたことがある。金利上昇、インフレ圧力、流動性の引き締めにより、より慎重なマクロ経済環境が生まれている。また、一部の市場での明確な規制枠組みの欠如が、イノベーター、ビルダー、投資家、企業にとって不必要に複雑な状況を作り出していると、ルービン氏は指摘している。
Consensysは影響を受ける従業員に対して「寛大な退職金パッケージ」とストックオプションの行使期間の延長を提供すると述べている。また、キャリアサポート、1対1のコーチング、ネットワーキングの機会、面接指導などのアウトプレースメントサービスも提供される。
ルービン氏は、この困難な決断にもかかわらず、Consensysの中核事業は「強固で回復力がある」と強調。過去数ヶ月間で、同社は持続可能な収益源と長期的な目標に焦点を当てた戦略の洗練と集中を行ってきた。これらの変更により、Consensysはイーサリアムエコシステムのサポートと分散化の推進における役割を強化するとしている。
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