マスク氏らがラトニック氏支持
米国のドナルド・トランプ新政権における財務長官候補者として、金融大手キャンター・フィッツジェラルドのハワード・ラトニックCEOが急浮上している。
執筆時点で、分散型予測市場ポリマーケットではラトニック氏が選出されると予想する票が33%、ベセント氏が51%だ。13日時点ではラトニック氏が5%、ベセント氏が88%だったが、数日でラトニック氏が猛追している。
ニューヨーク・タイムズによると、コインベースのブライアン・アームストロングCEO、リップル社のブラッド・ガーリングハウスCEO、サークル社幹部など、大手仮想通貨企業のトップが、トランプ氏のチームにラトニック氏の任命を働きかけているとされる。
また、トランプ氏が「政府効率化省(DOGE)」トップに起用した起業家のイーロン・マスク氏もラトニック氏を支持しており、次のようにXで発言した。
私の意見では、ベセント氏が財務長官になった場合は、従来通りの路線を続けることになるが、ラトニック氏は実際に変化を起こすだろう。
今の米国には、従来通りの路線ではなく「何らかの形で変化が必要」だと述べた格好だ。
現在の有力候補二人は共に暗号資産(仮想通貨)には肯定的である。ラトニック氏は「ビットコイン(BTC)のファン」を公言しており、同氏が率いるキャンター・フィッツジェラルドはビットコイン融資事業を立ち上げる予定だ。
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対するベセント氏は投資会社キースクエアグループの創設者兼CEOであり、「仮想通貨は自由に関するものであり、仮想通貨の経済圏は今後も存続する」と意見し、米国政府がビットコインを備蓄する案についても前向きな姿勢をほのめかしていた。
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関税への取り組みも焦点か
フィナンシャルタイムズが関係筋の情報として報じたところによると、トランプ陣営は、財務長官の有力候補者に対して、トランプ氏の提案する関税計画に取り組むという確約を求めているとされる。
関係筋によると、ダークホースとして第三の候補者が浮上する可能性もまだ残されているという。
トランプ氏は、関税を高くすることが、減税など経済政策の費用を賄うための効果的な方法だと主張。中国からの輸入品に60%の関税を課すことに加えて、米国に入ってくるすべての商品に10~20%の関税を課すことを提案している。
ベセント氏は以前、個人的な見解だと留保した上で、トランプ氏は「自由貿易主義者」であり、関税引き上げについての公約は、貿易相手国との交渉手段として強硬な主張をしているに過ぎないだろうと意見していた。
ベセント氏は現在、このことをめぐり守勢に立たされているとされる。
識者からは、トランプ氏が公約通りの関税引き上げを強行した場合には、貿易相手国による報復関税の発動などにより米国にとっても不利な状況が生まれる可能性が指摘されているところだ。
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