コインベースが2025年の見通し発表
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは18日、2025年の市場見通しレポートを発表した。ステーブルコインやRWA(現実資産)トークン、ETF(上場投資信託)などについて言及している。
コインベースは、新年の予想として次の5つの事項を挙げた。
- ステーブルコインは仮想通貨のキラーアプリであり、主要なユースケースが取引以外に広がる日が近づいている。
- 現実資産(RWA)トークン化は現在の市場サイクルの基礎となる。
- 仮想通貨ETFが進化すれば需要がさらに高まる可能性がある。
- DeFi(分散型金融)は新しいイノベーションへと進められる。
- 新政権は明確で合理的なルールを制定する準備ができていると思われ、業界と消費者の両方に利益をもたらす。
まずコインベースはステーブルコインが大幅に成長していると指摘。2024年に時価総額が48%増加して12月1日時点で1,930億ドル(約31兆円)に達したとしている。
また、今後は仮想通貨市場での取引仲介以外に、決済や送金でも採用が拡大していく可能性があると述べた。
コインベースによると、ステーブルコインは、2024年の年始から11月30日までに約27.1兆ドル(約4,200兆円)の取引を決済しており、これは2023年同期のほぼ3倍になった。これには、ピアツーピア(P2P)送金や企業間(B2B)の国際決済も多く含まれていたとしている。
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コインベースは現実資産(RWA)トークン市場の状況については、2024年には12月1日現在で60%以上成長し、135億ドル(約2兆円)に達したとしている。また、今後5年間で最低2兆ドル(約313兆円)、最大30兆ドル(4,700兆円)に成長する可能性があると予測されているとも指摘。
RWAの波は米国債やマネーマーケットファンドを超えて拡大しており、コモディティ、社債、不動産、保険などにも及んでいると続けた。
複数チェーンを横断することによる流動性の断片化や、規制上のハードルなど課題もあるが、持続的な投資と技術の改良などにより、トークン化は現在の仮想通貨市場サイクルの土台となる準備が整うとの見解を示した。
コインベースは仮想通貨のETF(上場投資信託)については、SEC(米国証券取引委員会)がETF株式の現金による償還義務などを撤廃したり、ステーキング要素を取り入れることを許可した場合、投資家にとってさらに魅力的になると意見した。
これらの変更は、ETF保有者にとっての潜在的な利益を高めたり、買値と売値のスプレッドを狭めたりする見込みがあるとしている。
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DeFiや規制環境
コインベースはDeFi(分散型金融)の貸付プロトコルは預かり資産総額(TVL)で過去最高を記録しており、分散型物理インフラ(DePIN)などの革新的なアプリがユーザーに新たな体験を可能にしていると指摘。
米国の規制環境の変化などにより、従来型の機関投資家が参加するための明確な道筋が提示されることも考えられると続けている。以上のようなことを踏まえるとDeFiが復活して新時代を迎える可能性があると分析した。
また、米国では新政権下で、上院と下院の両方で仮想通貨支持派が多数を占める状況となり、米国で明確な規制枠組みが確立されるだろうと予想している。
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