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米シカゴ連銀総裁、トランプ政権の「戦略的ビットコイン準備金」創設に法的障壁を指摘

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

FEDの保有資産に法的制限

米シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁は1月31日、米国政府が戦略的ビットコイン準備金を創設するにあたって、法的障害があるとの考えを示した。

同氏は連邦準備制度(FED)では、バランスシートに保有可能な資産に関して厳格な法的制限があると強調。現行法でビットコインは、その資産から除外されていると指摘した。

グールズビー氏の見解は、ジェーローム・パウエルFRB議長の発言と一致している。

パウエル氏は2024年12月、ビットコイン準備金創設の可能性について、FEDによるビットコイン保有は禁止されており、その法律を変えるつもりはないと強調。準備金の変更に関しては、議会が検討すべき領域だと述べていた。

一方でパウエル氏は先月末、銀行の暗号資産(仮想通貨)業務に言及し、リスク管理が適切に行われる限り、銀行による仮想通貨関連サービスの提供を容認する姿勢を示した。

予測市場の動き

米連邦政府によるビットコイン準備金創設については、法的制限が大きな障壁となっており、実現への道のりは容易ではないと予想される。

主要予測市場のPolymarket(ポリマーケット)のデータによると、2月3日現在、2025年内に米国政府によるビットコイン準備金が実現する可能性は46%。トランプ大統領就任前後では60%を超えていたが、市場は懐疑的なセンチメントに傾いているようだ。

また、トランプ大統領が就任100日以内に戦略的ビットコイン準備金を創設する大統領令に署名するかどうかについて、同プラットフォームの予測は、就任前の50%超から13%に下落している。

トランプ大統領は1月24日、「デジタル資産市場に関する大統領作業部会」設立の大統領令に署名した。この中には「戦略的国家デジタル資産備蓄(仮称)の創設に関する評価・提案」が含まれているが、ビットコインへの具体的な言及はなく、準備金の創設を命じるものではない。

州レベルでは法案の提出が相次ぐ

一方、米国の州レベルでは、ビットコイン準備金を検討する動きが活発化している。

Satoshi Action Fund(サトシ・アクション・ファンド:SAF)の共同創設者兼CEOのデニス・ポーター氏は、「ビットコイン準備金創設競争」は州がリードするとして、各州の進捗状況をXで報告した。

現在、以下の15の州でビットコイン準備金に関する公的議論が進行しており、11州ではすでに法案が提出されている。

アラバマ州、アリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、ケンタッキー州
マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、オハイオ州
オクラホマ州、ペンシルベニア州、テキサス州、ユタ州、ワイオミング州

ビットコイン準備金設立に向けた動きは、アリゾナ州とユタ州で最も進んでおり、委員会での審議を通過し、州議会での承認に向けた段階に入っている。

SAFは議員や規制当局に対するビットコイン啓蒙活動に従事する非営利団体。ポーター氏は「無限に通貨を印刷することができず、予算の限られている州こそ、戦略的ビットコイン準備金の恩恵を受ける」と主張している。

昨年12月、SAFとビットコイン政策研究所は共同で、米政府による「戦略的ビットコイン準備金」の設立に関する大統領令の草案を公開した。草案では、米財務省の為替安定化基金(ESF)を通じてビットコインを取得・保有し、ドルの長期的安定と地位を支えることが提案されている。

ポーター氏は「連邦政府が準備金の設立に迅速に対応しない場合、州レベルで戦略的準備金の波が起きるだろう」と警告していた。

関連: 米国等が進めている「ビットコイン準備金」構想|世界・日本の状況は?

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