
プロ向け販売の規制強化案
金融庁は26日、暗号資産(仮想通貨)交換業者に関する事務ガイドラインの一部改正案を公表した。
これは、一定の知識や経験を有する投資家に対して暗号資産交換業者が暗号資産を販売する際のルール改正案で、一般的な個人投資家に直接関連するものではない。金融庁は、改正案に意見がある場合は3月27日までに提出するよう求めている。
金融庁は、今回の改正案が対象となる販売を「プロ向けトークン販売」という名称で定義した。つまり「企業らが発行者となって暗号資産を発行し、その売却や他の暗号資産との交換を暗号資産交換業者に依頼することによって、対象の投資家から法定通貨や暗号資産の調達を行う行為」に関するルール案である。
また、この改正案で対象となる投資家は、金融商品取引法の定義に関する内閣府令で規定する適格機関投資家であると説明した。
その上で、プロ向けトークン販売を行う場合は適切性を判断する必要があるため、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の自主規制規則に沿って、暗号資産の仕組みや技術などについて届出を行うことを要請。また、取り扱う暗号資産の名称中に「プロ向け」の文言を付すことも求めている。
そして、対象の投資家以外が利用する交換業者に上場する場合は、「プロ向け」という文言を除き、新たに届出を行うように要請した。
関連:金融庁、仮想通貨の有価証券並「金融商品」の扱い検討か 税率引き下げやETF見据え=日経新聞
監督の主な着眼点
金融庁は今回の案が正式なルールになった場合、プロ向けトークン販売を行う暗号資産については、まず「販売が対象の投資家に限定されていること」の説明が必要になることが想定されると説明した。
他にも「JVCEAの自主規制規則の一部適用がないこと」「JVCEAの審査を経ていないこと」「一定期間は対象投資家以外への移転措置が制限されること」なども説明することになることが考えられるとしている。
監督に関する主な着眼点には以下の内容を挙げた。
- プロ向けトークン販売において、暗号資産の販売の相手方となろうとする者が対象投資家に該当することを根拠資料等に基づき確認しているか
- プロ向けトークン販売における暗号資産の販売に係る契約において、当該暗号資産のICOその他販売に係る契約に定める一定の事由が発生するまでの間、発行を受けた対象投資家が対象投資家以外の者に当該トークンを移転することを制限する措置が講じられることを確認しているか
- プロ向けトークン販売における暗号資産の販売に係る契約において、当該契約上の権利義務及び法的地位等、対象投資家以外の者への譲渡等が禁止されていることを確認しているか
- プロ向けトークン販売において、販売時点で未発行の暗号資産の販売を行う場合には、当該販売に係る契約において、当該暗号資産が発行される場合には移転制限措置が講じられることとなっていることを確認しているか
関連:金融庁、暗号資産・ステーブルコインの送金決済規制見直しへ本腰