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機関投資家の仮想通貨市場参入を妨げている要素|世界最大級の会計事務所責任者が発言

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仮想通貨分野に不足する保険
ボラティリティが高い仮想通貨分野において多くの企業が保険の欠如しており、この様な状況こそが機関投資家の参入を妨げていると指摘されているが、最先端を行く企業は保険を取得できている。今後フィデリティなど、既存金融事業者の仮想通貨カストディへの参入もポジティブな変化の兆しであると専門家は予想している。

仮想通貨分野に不足する保険

ここ数年間において、仮想通貨業界は度重なるハッキング、盗難に見舞われてきた。日本だけでも、仮想通貨取引所Mt.GOXやコインチェック、Zaifなどが被害を受け、ユーザー達に甚大な被害をもたらした。

そのような背景も仮想通貨の歴史の一部である中、海外メディアのロイターはこの新興市場において、そのようなリスクをカバーするための保険の欠如こそがファンドマネージャーなどの機関投資家の参入を妨げ、規制局に受け入れられない理由であると言及している。

世界最大級の会計事務所PwCにてアジアのフィンテック、仮想通貨部門責任者を務めるHenri Arslanian氏は、以下のようにコメントした。

多くの仮想通貨企業は、正式な保険への加入を望んでいる。そして、規制や法的な面でも、十分な保険を得ていることこそが必要最低限の基準である場合もある。

しかし、彼らの精一杯の取り組みにも関わらず、そのような十分な保険を得ることは不可能に等しいのが現状だ。

このように、仮想通貨市場において、保険の必要性が非常に高まってきているにも関わらず、多くの仮想通貨関連事業者が保険への加入に困難している。

機関投資家のニーズ

今年11月に香港の規制局である証券先物事務監察委員会(Securities & Futures Commission、SFC)は、仮想通貨取引所やプラットフォーム運営において、何らかの被害を受けたときに補償できる保険を備えることを最低条件として発表した。SFCは、その保険において、ホットウォレットの100%の額、コールドウォレットの95%の額を補償できるものが必要であると主張している。

その反面、米国の調査企業Greenwich Associatesが今年9月に公開した調査結果によると、質問に応じた機関投資家達の72%が仮想通貨の将来性を有望視し、「仮想通貨が将来的に可能性を秘めている」と回答した。

また国際的な法律事務所Ashurstのシニア弁護士を務めるHoi Tak Leung氏も以下のように述べている。

仮想通貨に興味を持つ機関投資家は様々な必要条件を有しており、信頼できるカストディとリスク管理が良い例だ。

ボラティリティが高い仮想通貨市場において、損害が出た際に十分にカバーできる保険の欠如こそが、仮想通貨投資のさらなる広がりを阻んでいる。

つまり現状、機関投資家は仮想通貨という新たな分野に興味を持っているものの、仮想通貨の高いボラティリティ、カストディ・サービスの欠如や仮想通貨に伴うイメージとの関与等といった要因とともに、仮想通貨に対する保険整備が整っていない点が機関投資家の参入を妨げていると言えるだろう。

保険を既に取得している仮想通貨関連企業も

このように、仮想通貨市場において、ハッキングや盗難に対応できる保険の欠如は、深刻であり、機関投資家の参入を妨げていることが、その一方で、複数の仮想通貨カストディサービスなどが着々と成長を遂げ、機関投資家水準を満たすようになり、十分な保険を適用することが可能になってきているのも事実である。

ブロックチェーン投資企業のKenetic Capital社の運営ディレクターを務めるTony Gravanis氏も市場で最先端を行くプレイヤー達は、既に十分な保険を得ることに成功していることを述べた。

その一例として、世界最大級の保険仲介会社Aonも今年10月にWinklevoss兄弟によって運営される仮想通貨取引所ジェミニに保険を付与している。

また、今年8月にはアメリカで認可されたカストディ機関であるKingdom Trustが、世界でも有数のイギリス保険組合ロイズに属する組織から保険契約を締結したと発表された。

Kingdom Trust社はビットコインやイーサリアム、リップルといった30種類の仮想通貨銘柄のカストディを管理する企業で、米サウスダコタ州の銀行部からカストディ機関として認可を受けている。

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また同社の様に仮想通貨のカストディ事業を展開する企業他にもCoinbaseのように仮想通貨市場で名を馳せた新興企業や、アメリカ最大級の金融サービス・プロバイダーであるフィデリティや、長い歴史を持つボストンの金融機関ステート・ストリートなども仮想通貨カストディに参入、又は、参入を検討していることから、既存金融分野から仮想通貨市場への参入も目立ってきている。

今年5月には野村ホールディングスもLedger社やGlobal Advisors Holdings Limitedと提携して、カストディサービスの提供に向けて「Komainu」の設立を発表している。

課題とされている仮想通貨のカストディ・サービス。今後さらに多くの既存金融機関が仮想通貨カストディサービスに参入し、そのカストディにおける保険が完備されていくことで、機関投資家の参入が増えていくと予想されている。

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