
過熱感の懸念も
Circle Internet Group(サークル)の株価が6月5日のIPO実施後、急激な上昇を続けている。同社は当初31ドルでIPOを実施したが、月曜日の取引ではさらに10%上昇し、IPO以来約7倍のリターンを記録した。
株価は月曜日の取引で一時298ドルまで上昇し、時価総額が770億ドルを超えた。これは同社が発行するステーブルコインUSDCの市場規模(615億ドル)や、パートナー企業である仮想通貨取引所コインベースの時価総額を上回る水準となった。

Two Prime Digital AssetsのCEOアレクサンダー・ブルーム氏はThe Blockの取材で「CircleがCoinbaseの時価総額を上回るのは、ファンダメンタルズの観点では理解しがたい」と指摘。投資家の注目と勢いに支えられた「アテンション・エコノミー」の典型例と分析している。
株価上昇の背景には中東情勢の緊迫化による米ドルといった安全資産への資金流入がある。イラン・イスラエル間の軍事的緊張により、投資家がリスク資産から逃避し、ステーブルコインやその関連企業への投資が拡大した。
また、FiservとPayPalによるステーブルコイン決済ネットワーク構築のニュースも23日に株価を後押しした。S&P500企業のFiservが3,000の地域・コミュニティ銀行にサービスを提供することで、ステーブルコイン市場の拡大期待が高まっている。
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さらに、FRBによる今年の利下げ回数が従来予測の4回から2回に減少したことにより、米国債で金利を得るサークルの収益モデルはより安定的かつ持続可能なものとなり、株価を後押ししているようだ。
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