
大規模なコンセンサスアップグレードを98%が支持
ソラナコミュニティは2日、大型アップグレード「アルペングロー(Alpenglow)」に圧倒的多数が賛成票を投じ、新たなコンセンサスプロトコルの導入を承認した。
このガバナンス投票の結果は、コミュニティの絶大な支持を示している。投票への参加率は総ステーキングの52%に達し、98.27%が賛成で、反対はわずか1.05%、棄権は0.69%だった。
アルペングローは、ソラナのコンセンサスプロトコルを根本的に見直す大規模なアップグレードで、ソラナの歴史上最も重要な技術的進化の一つとされている。
アップグレードの実装により、トランザクション確定時間(ファイナリティ)が現在の約12秒から、約150ミリ秒(0.15秒)に短縮されると見込まれている。アルペングローを開発したアンザ(Anza:ソラナのノードクライアントソフトを開発)は、150ミリ秒という遅延の低さは、従来のWeb2インフラと同等の応答時間を実現できる可能性が示すものだと主張している。
このような高速化は、ソラナのコンセンサスプロトコルであるプルーフ・オブ・ヒストリー(PoH)とタワーBFTを「Votor」と「Rotor」に置き換えることで実現する。
Votorは、投票とファイナリティの処理を行うもので、高速なファイナリティを可能にする。Rotorは、データ配信プロトコルであり、バリデータ間のデータ転送回数を最小限に抑えてデータの伝搬時間を大幅に短縮し、ネットワーク全体の効率を向上させる。
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今後の展開
アルペングローは、ソラナの既存のコンセンサスプロトコルを再構築し、ネットワークを伝統的金融で使用されている中央集権型インフラと同等の水準に引き上げる設計となっている。
投資企業Multicoin Capital のマネージングパートナーであるカイル・サマニ氏は、今回アルペングローアップグレードが承認されたことは、「より高速な処理とファイナリティ、そしてインターネット資本市場の出現への道を開くものだ」と述べた。
開発企業アンザのエコノミストであるマックス・レズニック氏によると、アルペングローは12月に開催されるソラナのBreakpointカンフェレンスまでに、テストネットで稼働を開始し、メインネットでの実装は2026年第1四半期を予定しているとしているという。
ソラナ価格への影響
暗号資産(仮想通貨)取引所MEXCの主任アナリストであるショーン・ヤング氏は、ソラナ価格について、9月には215ドル(約32,000円)、年末までに250ドル(約37,200円)に達する可能性があると予測している。
ヤング氏は、この価格予測の背景として、以下の点を挙げている。
- アルペングローアップグレードがもたらす技術的優位性
- ステーキングによる市場流通量の制約
- 企業の財務資産としてSOLを保有する企業の増加:17億ドル以上のソラナが財務資産にロックされている
- ETF承認への期待:資金流入が加速する可能性
ヤング氏は、アルペングローアップグレードによる超高速ファイナリティの実現は、他の競合チェーンを凌駕するだけでなく、標準的なインターネット検索の応答速度すら上回る可能性があると指摘。このような技術的マイルストーンは、ソラナを「高頻度アプリケーション、決済、大規模な分散型金融インフラ」にとってより魅力的なものにすると付け加えた。
同氏は、ソラナが機関投資家の間で「短期的な値動きを狙った投機的資産」から、「企業の財務戦略に組み込まれる長期保有資産」として扱われ始めており、「戦略的資産」としての地位を確立しつつあると指摘した。
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