
ビットコインを押収事例
ロンドン警視庁は9月29日、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)に関連する大規模な詐欺を巡り、中国籍の銭志敏被告に有罪判決が言い渡されたことを発表した。
今回の捜査では6万1,000BTC(1兆円相当)が押収されており、単一の仮想通貨押収事例では世界最大規模とされている。量刑は11月に言い渡される予定だ。
6万1,000BTCは、銭被告から押収された。この数量を企業の保有量を比較すると、ストラテジー(旧マイクロストラテジー)に次ぐ2番目の規模である。
銭被告は2014年から2017年の間、中国における大規模な詐欺で中心的な役割を担っていた。12万8,000人超をだまし、この時に得た資産をビットコインで保有していたという。
その後、偽造書類を使って中国から英国へ移動。2018年9月には資金洗浄(マネーロンダリング)をしようとしていたこともわかっている。
今回の捜査は、入手した情報をもとに2018年に開始。7年を経て、有罪判決の言い渡しにまで辿り着いた。逮捕は2024年4月にされており、銭被告は罪を認めている。
今回の捜査について、英検察庁(CPS)の幹部は以下のようにコメントした。
ビットコインなどの仮想通貨は、資産を隠したり、送信したりするために組織犯罪で使われる事例が増えている。仮想通貨の利用によって、詐欺師は犯罪の利益を得ることができているかもしれない。過去最大規模の仮想通貨押収を含む今回の事例は、詐欺師が得られる犯罪収益の規模を示している。
CPSは今後、押収と民事手続きを通じて、犯罪で得た資産を詐欺師が保有できないようにするために取り組んでいく。
また、法執行機関と捜査当局と密に協力し、仮想通貨詐欺の資金洗浄に関与する個人や企業を取り締まっていく。
なお、今回の詐欺は複数人が関与しており、他の被告から600億円相当のビットコインが押収されていることも伝えられている。
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