- 話題の“あの人”にコイナー野村が突撃インタビュー
- ADコイナーの野村氏が、DMM Bitcoin代表取締役の田口氏に、DMMグループの仮想通貨業界参入の裏側、今後の仮想通貨業界の見通しなど、様々な質問を投げかけた。
今日のコイナー
DMM Bitcoin 代表取締役 田口 仁
早稲田大学政治経済学部を1994年に卒業。三菱商事株式会社に入社しライブドア、DeNa、EMCOMなどで様々な事業の立ち上げや運用に携わり、現在はDMM Bitcoin代表取締役社長。
あなたにとって仮想通貨とは?
金融業界の破壊者であり、創造者です
『真相解説!仮想通貨NEWS!』×『Coin Post』話題の“あの人”にコイナー野村が突撃インタビューするコーナー
野村
ADコイナーの野村です。
本日は、DMM Bitcoinの代表取締役田口仁さんにお越しいただきました。
本日はよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
田口
野村
早速インタビューさせていただきますけど、僕らからするとDMMという大手の会社が仮想通貨という市場に入ってきたところに非常に衝撃がありますが、なぜこの市場に注目されたんでしょうか。
実を申し上げると、DMMグループとして仮想通貨に興味をもったのは2015年のマウントゴックスの事件のあと、いち早くグループの代表である亀山を含め、関心をもったというのがありました。
しかし、そのときには参入せずに、結果的には2017年6月にみなし業者の会社を買収する形で参入するようになったのが経緯です。
どうしてそこまで待ったかと言うと、法制度化がない中で、仮想通貨の位置づけがどうなるのか、そこが見えない中で、参入を見送り続けていたというのが、実は2014年から2017年、2017年4月に法制度が整ったということで、しっかりした継続的なサービスを提供できる法律的な礎ができたということで、参入したというのが経緯になります。
田口
野村
そうだったんですね。じゃあ、会社としては、このタイミングがベストだと、ある程度そろったところで参入したということですね。
そうですね。
DMMグループとしては、一つは映像関係の事業、一つはゲーム関係の事業、もう一つの柱を金融事業というのがあるんですけど、特に金融事業や金融に関わる分野については、グループのポリシーとして、礎となる法制度がしっかりと確立されている、そうでない領域で、例えば、グレーであったり、もしくは違法ではないけれど無法になっているものについては、特に金融や金融に関連する分野においては行わないというのが、もともとのポリシーとしてあって、そんな形になったということですね。
これはもうみなさん普段の生活の中でDMMグループは、新しいことにどんどん積極的に先進的に一歩早く参入していくという、そんな捉え方をされているケースが多いと思うんですけど、金融に関しては、どちらかというと非常に保守的なのかなと思っています。
田口
野村
そういうことだったんですね。しっかり守りながら、攻めるところを攻めていくという感じなんですね。
そうですね。
金融は一番重要な点というのは、他の事業ではエンターテイメントコンテンツを提供して使っていただいたり、何か提供価値としてお客さまから財産を預かってサービスを提供していくことではないんですよね。
何らかのものを消費するということでサービスを提供する、使っていただくということが他の事業領域なんですけど、金融事業についてはお客様の大切な財産をお預かりするということが第一歩になるということで、そこが他の事業領域とは大きく違うところです。
そのような中で会社としては、他の事業領域とは違う、しっかりとした法律に基づいた形の内部管理体制というのが必要になってきます。
そんな形で捉えています。そこがもしかすると2014年くらいから法律であったり、根拠となるようなルールみたいなものがない中で、早いタイミングで仮想通貨であったり、仮想通貨交換業入った会社さんとの考え方の違いとなるのかなと。
当社は、もともと仮想通貨交換業は金融業であるという捉え方をしている点が、少し他の会社さんとは違うと、それによりサービス内容も他の会社さんよりも利便性が低かったり、制限が強いと思われる可能性はあるんですけど、逆に金融サービスで株とかFXをされている方からすると、あまり違和感なく、安心安全な形でお客様の財産をお預かりしてサービスを提供するということをご理解いただけるのではないかなと思います。
田口
野村
そういうことですね。取引所としてそこまで責任をもってやっていきたいというお考えだからこそということですか。
というか、金融は、そういうものだと思うんです。金融の根幹は、他の業と違うのは、お客様の財産をお預かりして補完管理しますということが第一歩としてあって、その上でお預かりしている財産を資産運用するための手段をサービスとして提供することがあって、まず第一段階として人様のお金を預かっているということ、お金であったり財産であったりをお預かりしているということがまず非常に重要な視点です。
田口
野村
確かに今、流出問題とか多い業界ではあるので、安心安全というところが一番大切だなと改めて思いました。
ちなみにこの参入したタイミングについてなんですけど、流出事件があって仮想通貨がどんどん落ちてしまったりとか、今各企業のお話を伺っていると、非常に苦しい状況でもあるのかなと思いますが、ここはDMMさんとしては、どのように打開していこうとお考えですか。
全体的な市場の状況から申し上げると、2017年は非常に大きな高度な成長がありまして、2018年はもちろんいくつかの会社さんで、お客様の財産が流出したり、盗難されたりが原因にもなって、仮想通貨の相場事態が下落であったり、崩れていくということはあったりしたとは思います。
ただ個人的にはそれだけが理由ではないと思っていて、比較的グローバルに仮想通貨であったり、仮想通貨の技術を用いた金融の商品的な位置づけが法律的に明確になってきて、ある意味違法な取引であったり、不公正な取引であったり、不公正だったり違法な疑いがあるような取引ができづらくなったというのと、ファーストムーバーの方から見ると無法であるが故にボラティリティが高くて、非常に短期間の中で資産価値が大きくなって見えるような、そういう現象というのが楽しいと思われる方々が退出した可能性はありますよね。
これがちょっと面白みがなくなったという、ただ、一つは流出事件と、法制度が進む中で一番はじめの成長のきっかけとなっているファーストムーバーの方の中で投機的な動きを含めたかたちでの資産運用、財産を増やしていくのは難しくなったなと退出してしまった可能性の両面があると思います。
逆に言うと2019年ということで言うと、不公正な取引が起こらない仕組みを含めて、しっかりと法制度的にも、業務を行なう立場からしても内部管理体制を整えていく中で、はじめての取引を行う人にとっては、より一層安心な形で取引を開始していただく環境は2019年には整っていくのではないかなと思います。ただ、高度な価格上昇であったり、それをともなうような資産効果という面では、2017年のような状況を再現できるかというと、それは可能性としては大きくない可能性はあるのかな・・・と、ただわからないですよね。相場は本当にわからない話なので、わからないですけれどもそうなのかなと。
ただもう一つの視点としては、より一層安心安全の取引の仕組みであったり、サービスを提供するであったりと合わせて、DMMとしては、分散台帳技術は本物だと思っています。そういった中で社会基盤として仮想通貨がベースとしている分散台帳技術が利用拡大されるようなシーンを自ら拡大していくようなことは、しっかり取り組んでいきたい。
具体的には、仮想通貨の本質がもし決済ということであれば、自ら一般的にはステーブルコインと呼ばれるかもしれませんし、日本の法律上は電子マネーに当たるものになるんですけど、独自の分散台帳技術を用いて電子マネーに相当するステーブルコインを発行して、日常生活の様々なシーンで使えるように普及を促進していったり、仮想通貨を決済のときに使うゲートウエイ的な通貨として普及させていくなどであったり、そんなことには是非チャレンジしていきたいこと思っています。
そのような中で他の会社さんもそうだと思うんですけど、仮想通貨交換業はいろんな法律ができて、今後制度ができてくると、自分たちがやっている領域というものは広がることはなく、狭まるんですよね。これまで証券であったり、他の業との境目がグレーであったのに、きっちりと線引されます。きっちり線引されるということであれば、通常であれば既存の事業に有利な形で線引されるもんなんですよ、競争でいうならばね。今までグレーゾーンでできていたことができなくなる、そんなことがいろんなところでできてくるんじゃないかなと思います。
逆にいうと仮想通貨交換業という業にとどまるということは危険性が高くて、本来、社会基盤として、仮想通貨の意図する分散台帳技術を普及させようとしたならば、仮想通貨交換業だけじゃ足りなかったんです。やっぱり証券業も必要でした。日本でいうと金商業者という業者登録も必要でした。一方で資金業も必要でした。銀行業というのはちょっと違うんですけど、こういった証券業であったり、資金業であったり、仮想通貨交換業の3つをもつことで、従来の証券業や従来の銀行が行っていたようなサービスを同じようなサービスを、分散台帳技術を用いて提供できますよ。そのような役割が再定義されていく、見直されていくのが2019年のタイミングなのかなと思います。
そういうふうな形でSFAの方が研究会で昨年末に報告書の案を出されていて、そのようなことが色濃く出ていますよね。仮想通貨交換業の他に資金業や金商が必要になるなということが予期するというか、予見されるようなことが報告されます。それにそって私たちは必要なライセンスについては躊躇なく取っていく、コストを掛けて人員も強化していこうと思っています
田口
野村
業界をリードしていくような感じですね。
いや、そんなことはないです。リードしていくのは大企業や金融機関さん、忘れちゃいけないのは仮想通貨の業界、仮想通貨交換業であったり、コミュニティの人っていうのは、2017年までは既存のビジネスモデルにチャレンジしていく立場だったけれど、2018年はそれが危うい状況になり、2019年は逆にやり返されるというのは語弊がありますが、他の業界の方から見た場合に反転攻勢される年にもなるのではないかと思います。
逆にいうと証券業をもっている人は仮想通貨業をとった上で、トークン化されたセキュリティトークンみたいなものを普及させていく、そういうことをリードをしていく可能性もあるわけで、そうするとネット証券の方は資本力も大きいですし、この10年以上の中でいろんなインターネットを通じたサービスの中で銀行業も含めて展開されてきた方が多いので、今度はそういう方たちとの競争になっていくと思います。
もう1点は、LINEさんであったり、楽天さんであったり、Yahooさんであったり、日本で一番今の段階で仮想通貨決済に使われるシーンでの強豪は誰なのというと、間違いなくLINEPayであり、Yahooマネーであると思うんですね。今ものすごい勢いで、PayPayとかも含めて販売促進をしながら、加盟店を増やしながら利用者を増やそうとしていますよね。
あれは仮想通貨の基盤となっている電子マネーとかですね、ステーブルトークンに置き換えたり、付け加えるというのはそんなに難しいことではない。多分技術にそんなに詳しい方でなくても、イメージわくと思うんですよね。やっていることは一緒ですからね。二次元バーコードでピッと決済する、いつでもできるってことですよね、ライセンスさえとれば。
Yahooさんは、自分たちで買収した先にすでにライセンス業者を持っていますし、LINEさんも海外では仮想通貨交換業をはじめられていますよね。多分、日本でも取られていくんでしょう。そういうことで見るならば、僕らが競争していくのは、もちろんグローバルという視点もあるんですけど、日本ということでみるならば、おそらく世界各国で同じようなことが起こると思います。
一つは金融業界のメジャープレイヤーからカウンターをくらう、もう一つはネットガリバーから自ら 仮想通貨交換業に乗り出してくる、これに対して競争していくというのが2019年のトレンドになるんじゃないかなと僕らは思っています。だから非常に緊張感をもって、どうやって新しいサービスを生み出せるのか、真摯に取り組んでいかなきゃなと考えています。
田口
野村
ありがとうございます。とても貴重なお話でした。勉強になります。
最後に田口さんにとって仮想通貨とはどんな存在なのか、教えてもらってもよろしいでしょうか。
仮想通貨という言い方をするのか、暗号資産という言い方をするのかは別にして、技術基盤としている分散台帳技術は、おそらく将来もさまざまな価値交換であったり、資産性のあるような価値であったり、価値っていろんなものがあるんですけど、そういう価値であったり、意味合いであったり、流通させたり、保管するための基盤となる技術になるのは間違えないと思います。
こういった利用形態の1つとして、僕らは資産性を持った分野、そして決済という分野で1日も早く、 仮想通貨、分散台帳技術が根付いていく、それをリードできればいいなと思っています。
僕はもともと証券業だとか金融業が長いので、旧来型の情報システムに比べると、非常に柔軟性であったり、コスト効率の高い形で金融サービスや金融ネットワークが構築できるようなものがでてきたっていう、そんな見方をしています。そういった意味での驚きはあります。
昔からそういう発想はあったけれど、誰も実施してこなかった。そういったものがコミュニティを中心に自然発生的に生まれてきたことへの驚きであったり、関心の高さが、僕の中の仮想通貨です。
田口
野村
本日は貴重なお時間ありがとうございました。
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