イーサリアム相互運用レイヤー開発中
イーサリアム財団は18日、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のレイヤー2エコシステムを、一つのチェーンのように感じさせる「相互運用レイヤー」の構想を発表した。
イーサリアム財団の研究者であるヨアヴ・ワイス氏は「イーサリアム相互運用レイヤー(EIL)」のビジョンを次のように述べている。
もしすべてのL2が、単一の統合されたイーサリアムのように感じられたらどうか。クロスチェーン・ブリッジについて考える必要もなく、チェーン名を気にする必要もなく、残高や資産が分散することもない。
また、信頼(トラスト)を最小限に抑えた分散型の基盤を維持することも強調した。この相互運用レイヤーはまだ開発中だが、イーサリアムのレイヤー2におけるエコシステム断片化の問題を解決するのに役立つ可能性がある。
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ウォレット中心の視点でEVM(イーサリアム仮想マシン)のエコシステムを統合するものであり、イーサリアムのウォレットやdApps(分散型アプリ)をデフォルトでマルチチェーンにすることが期待される。
新規および既存のロールアップ・プロジェクトも自動的に互換性を持つようになる構想だ。なお、ロールアップとはトランザクションをL2上でまとめて処理し、結果だけをイーサリアムL1(メインネット)に書き込むことにより効率性を上げ、コストを下げるプロジェクトである。
「イーサリアム相互運用レイヤー(EIL)」は現在テスト運用中であり、2023年に導入されたイーサリアム改善提案ERC-4337のアカウント抽象化技術を採用。これはユーザーアカウントをスマートコントラクトのように動作させることを可能にする改善提案である。
レイヤー2とは
「2層目」のブロックチェーンのこと。全ての取引履歴をメインチェーンに書き込むと負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。そこで、取引履歴の一部をオフチェーンやサイドチェーンに記載するようにすることでメインチェーンへの負荷軽減や処理速度向上を期待することができる。
ワイス氏らは、L2チェーンは、スループットとコスト効率を劇的に向上させたものの、ユーザーにとっては煩雑さの問題があると指摘した。
独立した様々なL2チェーンが存在することで、操作が煩雑になり、ユーザーにはチェーンごとに新たに覚えることが多くなるという認知的負荷がかかるとしている。また、クロスチェーン・ブリッジ、リレーサーバー、ソルバーなどを新たに信頼する必要が生じ、検閲リスクも高まると続けた。
ワイス氏らは、これを解決するイーサリアム相互運用レイヤー(EIL)を初期のインターネットにおけるHTTPにも例えた。HTTP以前は、ユーザーは個々のサーバーに接続できたが、それらを1つのフローに統合することはできなかった。HTTPがこれを統合したと指摘する。
同様に、EILはウォレット中心のマルチチェーンUXとして断片化を解決する。ウォレットがイーサリアムのエコシステムへの普遍的な窓口となり、様々なL2ネットワークにまたがる体験を、シームレスにまとめる格好だ。
また、EILを開発する上では、イーサリアムの中心となる価値観である「自己管理」「検閲耐性」「プライバシー」「検証可能性」を維持することが重要だとも強調した。
ワイス氏らは、ウォレットチーム、dApps開発者、ネットワーク設計者、エコシステム参加者に、EIL開発への参加を呼びかけている。
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