
米国での規制リスク解消受け審査再開
韓国の金融情報分析院(FIU)は、最大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスによるゴーパックス(Gopax)買収の審査を約二年半ぶりに再開した。地元メディアが14日に報じた。
関係筋によると、米国当局によるバイナンス関連訴訟が取り消されたことが背景となっており、今年中に役員変更申告が認められる可能性が高い。その場合、バイナンスは韓国での事業再開に向けて一歩前進する。
経緯として、バイナンスは2023年に韓国市場への再進出を目指してゴーパックスの株式67%を取得。大株主となり、「役員変更申告書」をFIUに提出していた。
しかしその後2023年6月、バイデン政権下で米証券取引委員会(SEC)が証券法違反の疑いでバイナンスに対して裁判を起こした。また、米司法省はバイナンスをマネーロンダリング対策をめぐる違反で告発した。
韓国の当局は、こうした動向を注視し、ゴーパックスの人事承認に慎重になっていた。
SECは今年5月、トランプ政権下で仮想通貨に肯定的な新体制になった後、バイナンスへの訴訟を取り下げている。
また司法省との裁判でバイナンスは43億ドルの和解金を支払い、バイナンス前CEOのチャンポン・ジャオ氏(CZ氏)もその後マネロン関連で有罪を認め、2024年に4か月の服役を終えたところだ。
最近では、ホワイトハウス内でCZ氏の恩赦が協議されているとも伝えられる。
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米国でバイナンスに対する規制リスクが解消された状況を踏まえて、韓国当局もバイナンスの韓国再進出の可能性を前向きにとらえているとみられる。
ゴーパックスは、韓国で業界5位の仮想通貨取引所だ。韓国内で現金から仮想通貨への取引を認可されている取引所5社のうちの1つである。厳格な顧客身元確認(KYC)やマネーロンダリング対策(AML)の要件を満たすプラットフォームであることを示す。
ゴーパックスは、大手仮想通貨取引所FTXの破綻による債務不履行連鎖の関係で2023年、顧客が資金を出金できなくなる状況に直面した。
この際にバイナンスが介入してゴーパックスの過半数株式を取得し、影響を受けたユーザーへの返済を支援するための資本注入を行うと表明していた。
バイナンスは米国での訴訟を経た現在も、依然として業界をリードしている。
最近では、トランプ米大統領の対中関税発言による10日の市場下落時に影響を受けた一部のユーザーに向けて総額4億ドル(約600億円)の支援プログラムを発表した。
特に、10月10日0時から11日23時59分の間に先物取引とマージン取引で強制清算による損失を被った一部のユーザーに、ステーブルコイン「USDC」を配布するとしている。
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