
銀行破綻リスクへの警戒強まる
米国の地方銀行が過去2週間で商業顧客への不良債権を償却したことで、ウォール街に健全性への懸念が広がっているとABCが18日に報道した。投資家は更なる悪材料の可能性を警戒しており、金価格は今週7.34%上昇した。
ザイオンズ銀行、ウエスタン・アライアンス銀行、投資銀行ジェフリーズが簿外の不良投資を開示し、株価が急落した。JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは今週火曜日、「ゴキブリを1匹見たら他にもいる可能性が高い」と述べ、潜在的な不良債権を抱える銀行に更なる問題が生じる可能性を警告した。
投資家が追跡する銀行バスケットのKBW銀行指数は今月7%下落している。連邦準備制度理事会のデータによると、銀行は2夜連続で中央銀行の翌日物レポ施設を利用した。これは新型コロナウイルスパンデミック以来初めてで、銀行が短期的な資金不足を補うために流動性の高い証券を現金に転換する必要性を示している。
ザイオンズ・バンコープは木曜日、商業産業ローンで5,000万ドルを償却し株価が下落した。ウエスタン・アライアンスはキャンター・グループVという事業体による詐欺被害を主張し、ジェフリーズは破産した自動車部品会社ファースト・ブランズの59億ドルの債務を保有していると明らかにした。大手銀行も影響を免れず、フィフス・サード銀行は破産したサブプライム自動車販売会社トリカラーから1億7,800万ドルの損失を計上した。
地方銀行は中小企業への融資や商業用不動産開発の主要貸し手として経済の重要な部分を占めている。連邦預金保険公社によると、資産規模100億ドルから2,000億ドルの銀行は120行以上ある。これらの銀行は大手ウォール街銀行ほど事業が多様化されておらず、不動産や産業ローンへのエクスポージャーが高い。
2023年の銀行危機では、低金利ローンと商業用不動産に過度にエクスポージャーを持つ中堅・地方銀行が関与した。シリコンバレー銀行が破綻し、シグネチャー銀行も続き、ファースト・リパブリック銀行はJPモルガンに緊急売却された。当時も金価格は投資家が安全資産に殺到したことで急騰していた。
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